著者
林田 吉恵 上村 敏之
出版者
日本財政学会
雑誌
財政研究 (ISSN:24363421)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.131-148, 2010 (Released:2022-07-15)
参考文献数
15

本稿では,投資家である家計の税制と法人所得税が企業の設備投資に与える影響を分析する。そのため,設備投資の資金調達手段の違いを考慮した個別企業ごとの租税調整済み資本コストと限界実効税率を計測して投資関数を推計し,投資率に対する法人実効税率の弾力性を求めた。本稿は,これらの分析結果の分布の推移に注目する。 限界実効税率の平均は1970年代から90年代にかけて高く推移し,その後に低下する。その分布は,1970年代から90年代にかけて広がりを見せるが,2000年代になれば小さくなる。投資関数の資本コストの係数は,1970年代から90年代まではさほど変わらないが,2000年代は小さくなる。1970年代と80年代の限界実効税率の投資率に対する弾力性の値は大きいが,90年代から2000年代に入ると低下する。 本稿の分析により,過去の法人所得税の限界実効税率は設備投資に対して影響力を持っていたが,2000年代に入り,影響力は小さくなったことが指摘できた。

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