著者
西田 裕紀子 丹下 智香子 富田 真紀子 安藤 富士子 下方 浩史
出版者
日本老年社会科学会
雑誌
老年社会科学 (ISSN:03882446)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.370-381, 2012-10-20 (Released:2020-01-30)
参考文献数
51

本研究では,高齢者の抑うつがその後8年間の知能低下に及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.分析対象は,「国立長寿医療研究センター・老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」の第1次調査(ベースライン)に参加した65〜79歳の地域在住高齢者805用いて評価した.また,知能の変化は,ベースラインおよび2年間隔で行われた4回の追跡調査において,ウェクスラー成人知能検査改訂版の簡易実施法(知識,類似,絵画完成,符号)により測定した.線形混合モデルを用いた分析の結果,抑うつの有無は,「知識」「類似」「符号」の経年変化に影響を及ぼすことが示された.一方,抑うつから「絵画完成」の経年変化への影響は認められなかった.以上の結果から,高齢者の抑うつは,その後8年間の一般的な事実に関する知識の量,論理的抽象的思考力,および情報処理速度の低下を引き起こす可能性が示された.

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高齢者の抑うつと知能低下の関連性など https://t.co/bHv5lCIJBu

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