著者
長谷川 和俊
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.274-279, 2017-08-15 (Released:2017-08-15)
参考文献数
19

福島第一原子力発電所の事故は東日本大震災を契機に大災害に発展した.この事故が拡大した要因に関して安全文化の基本および本質安全技術に鑑みて検証した.その結果,安全優先,耐震補強,電源系の異種冗長化,非対称故障モードの活用と簡素化,原子炉施設の簡素化および影響の局限化,縮減化およびノックオン効果の回避,炉心損傷および水素ガス発生への包容性,ガス爆発への局限化,緊急対策の簡素化,異種冗長化された監視系に関して,不作為あるいは見過ごしがあった.従って,福島第一原子力発電所の大災害は安全設計の基本概念を欠いた人災であったと結論した.

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