著者
中間 満雄 田中 浩 石井 泉 中田 悟
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.19-25, 2009-03-20 (Released:2011-12-06)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

活性酸素種 (ROS) は紫外線によって生成され,さまざまな皮膚障害をひき起こす。最近,一酸化窒素 (NO) やパーオキシナイトライト (ONOO-) などの活性窒素種 (RNS) が,ROSと同様にさまざまな皮膚障害に関与していることが明らかとなってきた。これまでに,紅斑,メラニン生成,バリア機能の低下,創傷治癒および乾癬などに対するRNSの関与が示唆されており,美しい肌を保つためにはRNSの制御が重要であると考えられる。しかし,RNSの寿命は非常に短いため,RNSを直接的に観測した例はほとんどみられない。本研究では,RNSに特異的な蛍光プローブを用いることにより,表皮角化細胞へのUVB照射によるRNS生成量の増加を直接的に観測した。一方,UVB照射によるRNS生成量の増加は,新規な水溶性ビタミンE誘導体であるdl-α-トコフェリルリン酸ナトリウム (VEP) によって抑制された。さらに,UVB照射によるRNSの生成は,神経型一酸化窒素合成酵素 (nNOS) を介したメカニズムによって起こることが示唆された。以上から,RNSによるさまざまな皮膚障害に対してVEPが有効である可能性が考えられた。

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