著者
栃尾 巧 森地 恵理子 広瀬 統 中田 悟 久世 淳子
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.121-127, 2008-06-20 (Released:2010-08-06)
参考文献数
18

近年の研究から, メイクアップは心理的な指標だけでなく生理的な指標においても精神的ストレスの緩和効果があることが示されている。本実験において, われわれは, 精神的ストレスとsuperoxide dismutase (SOD), catalase (CAT) のような活性酸素消去酵素の関係およびメイクアップによる精神的ストレス緩和効果の活性酸素消去酵素に対する影響について調べた。実験1において, 精神的ストレス負荷前後に唾液中のコルチゾール濃度とSOD活性を測定したところ, 負荷前に比べコルチゾール濃度の増加とSOD活性の低下がみられた。また, 実験2において, 精神的ストレス負荷後にメイクアップを行った実験群は, 精神的ストレス負荷前に比べ, 唾液中のコルチゾール濃度は減少傾向にあり, SOD, CAT活性は増加した。また, 心理的効果として, 状況不安の低下や精神的健康度の上昇などが示された。以上の結果から, メイクアップは精神的ストレスによる心理的不安を解消し, 活性酸素消去酵素の活性低下を抑制すると考えられた。
著者
山口 弘毅 大隅 和寿 坂井田 勉 広瀬 統 八代 洋一 中田 悟
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.27-32, 2017 (Released:2017-03-22)
参考文献数
11

毛穴の目立ちの原因となる角栓は,角質や皮脂が毛孔内で凝固して発達したものと考えられていたが,われわれの研究から角栓形成には毛包中の内毛根鞘が関与する可能性が考えられた。また,男性ホルモンの活性化が角栓形成に関与することも明らかにした。これらの結果から,内毛根鞘の形成阻害や男性ホルモンの活性化抑制が角栓形成を防ぎ,結果として毛穴を目立たなくさせると考え,有効成分としてザクロ発酵液を同定した。さらに,ザクロ発酵液を配合したミルクローションを2ヵ月間女性被験者16名(平均年齢30.3歳)に連用させたところ,ポルフィリン量を指標にした角栓の目立ち,およびレプリカにおける毛穴の深さ解析において改善効果を得た。以上の結果から,ザクロ発酵液が角栓形成を抑制し,毛穴の目立ちを改善すると考えられた。
著者
豊田 直晃 浅野 浩志 北原 路郎 中田 悟 浅井 厳 高尾 泰正 島田 泰拓 羽多野 重信
出版者
粉体工学会
雑誌
粉体工学会誌 (ISSN:03866157)
巻号頁・発行日
vol.52, no.12, pp.694-700, 2015-12-10 (Released:2015-12-26)
参考文献数
17
被引用文献数
3

The texture of powder cosmetics, such as "smoothness" and "moist feeling", is one of the most important properties for the usability assessment. In general, we rely upon the sensory evaluation for cosmetics. However, such subjective evaluation tends to be vague because of not only the lack of evaluators' skill but also the reproducibility error on environmental factors. Therefore, a highly-reliable evaluation method by using physical properties, such as particulate mechanical characteristics, is desired. In this study, we investigated the correlation between the sense of use and physical properties by the direct shear testing of the powder bed for five kinds of cosmetic powder. As a result, we found that internal friction coefficient μi was correlated with the "smoothness". Furthermore, the shearing cohesion τc and the degree of PYL (Powder Yield Locus) curve were related to "moist feeling", respectively.
著者
加藤 肇 中尾 茂 中田 悟史 佐藤 礼一郎 大西 守 田島 誉士
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.379-383, 2015

サルモネラ・ティフィムリウム及び同ダブリンの不活化菌体抗原を主成分とし,エンドトキシン中和剤であるポリミキシンB硫酸塩を含む牛サルモネラ症不活化ワクチンを,健常なホルスタイン種育成牛8頭に接種した際の生体の反応を,臨床病理学的に観察した.ワクチン接種後に食欲の低下や一般状態の悪化は認められなかった.注射部位に一過性の腫脹及び硬結が認められた.血液検査所見では,ワクチン接種後24時間以内に,急性炎症の指標となるヘマトクリット値,血清総蛋白質濃度,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ活性値,クレアチンキナーゼ活性値及びシアル酸濃度の有意な上昇が認められた.一方,ワクチン接種後にエンドトキシンショックや過敏症反応を疑わせる臨床症状は認められなかった.免疫学的な有効性が認められて市販されている本ワクチンは,接種部位の局所的な急性炎症を起こすが,重篤な副反応を引き起こす可能性は低いと考えられた.
著者
村上 祐子 足立 浩章 坂井田 勉 田中 浩 八代 洋一 中田 悟
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.278-284, 2013-12-20 (Released:2015-12-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1 2

真皮のコラーゲン線維はⅠ型およびⅢ型コラーゲンから構成されており,加齢とともにⅢ型コラーゲン/Ⅰ型コラーゲンの比率が減少する。また,これが真皮の物性に影響を及ぼすと考えられている。コラーゲン分子は,線維芽細胞において,プロ体として合成,分泌されたのち,酵素によりN末端およびC末端のプロペプチドが切断されることで互いに会合し,コラーゲン線維を形成する。今回,コラーゲン線維におけるⅢ型コラーゲン/Ⅰ型コラーゲンの比率の加齢にともなう減少メカニズムを調べる目的で,Ⅰ型およびⅢ型コラーゲンのプロペプチド切断酵素の加齢変化について検討した。また,Ⅲ型コラーゲンのプロペプチド切断酵素であるmeprinに及ぼすスクシニルブリオノール酸2Kの効果についても検討した。その結果,Ⅲ型コラーゲンのプロペプチド切断酵素meprinの発現は,Ⅰ型コラーゲンのプロペプチド切断酵素BMP-1およびADAMTS-14よりも加齢とともに顕著に減少した。また,スクシニルブリオノール酸2Kは,meprinの発現を促進した。以上から,Ⅲ型コラーゲンのプロペプチド切断酵素がⅠ型のそれよりも顕著に減少するということが,コラーゲン線維中のⅢ型コラーゲン/Ⅰ型コラーゲンの比率を低下させる一因であると考えられた。また,スクシニルブリオノール酸2Kにmeprinを増加させる効果が認められたことから,加齢によるmeprinの減少を防ぐことでⅢ型コラーゲン/Ⅰ型コラーゲンの比率の減少を抑制し,真皮の物性変化を改善できると示唆された。
著者
中間 満雄 田中 浩 石井 泉 中田 悟
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.19-25, 2009
被引用文献数
1

活性酸素種 (ROS) は紫外線によって生成され,さまざまな皮膚障害をひき起こす。最近,一酸化窒素 (NO) やパーオキシナイトライト (ONOO<sup>-</sup>) などの活性窒素種 (RNS) が,ROSと同様にさまざまな皮膚障害に関与していることが明らかとなってきた。これまでに,紅斑,メラニン生成,バリア機能の低下,創傷治癒および乾癬などに対するRNSの関与が示唆されており,美しい肌を保つためにはRNSの制御が重要であると考えられる。しかし,RNSの寿命は非常に短いため,RNSを直接的に観測した例はほとんどみられない。本研究では,RNSに特異的な蛍光プローブを用いることにより,表皮角化細胞へのUVB照射によるRNS生成量の増加を直接的に観測した。一方,UVB照射によるRNS生成量の増加は,新規な水溶性ビタミンE誘導体である<i>dl</i>-<i>&alpha;</i>-トコフェリルリン酸ナトリウム (VEP) によって抑制された。さらに,UVB照射によるRNSの生成は,神経型一酸化窒素合成酵素 (nNOS) を介したメカニズムによって起こることが示唆された。以上から,RNSによるさまざまな皮膚障害に対してVEPが有効である可能性が考えられた。
著者
中間 満雄 田中 浩 石井 泉 中田 悟
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.19-25, 2009-03-20 (Released:2011-12-06)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

活性酸素種 (ROS) は紫外線によって生成され,さまざまな皮膚障害をひき起こす。最近,一酸化窒素 (NO) やパーオキシナイトライト (ONOO-) などの活性窒素種 (RNS) が,ROSと同様にさまざまな皮膚障害に関与していることが明らかとなってきた。これまでに,紅斑,メラニン生成,バリア機能の低下,創傷治癒および乾癬などに対するRNSの関与が示唆されており,美しい肌を保つためにはRNSの制御が重要であると考えられる。しかし,RNSの寿命は非常に短いため,RNSを直接的に観測した例はほとんどみられない。本研究では,RNSに特異的な蛍光プローブを用いることにより,表皮角化細胞へのUVB照射によるRNS生成量の増加を直接的に観測した。一方,UVB照射によるRNS生成量の増加は,新規な水溶性ビタミンE誘導体であるdl-α-トコフェリルリン酸ナトリウム (VEP) によって抑制された。さらに,UVB照射によるRNSの生成は,神経型一酸化窒素合成酵素 (nNOS) を介したメカニズムによって起こることが示唆された。以上から,RNSによるさまざまな皮膚障害に対してVEPが有効である可能性が考えられた。
著者
五十嵐 敏夫 広瀬 統 八代 洋一 中田 悟
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.222-226, 2016-09-20 (Released:2017-03-21)
参考文献数
6

目袋は目もとに陰影を生じ,その人に老けた印象を与えることから,美容的に好ましくない。目もとは照明条件の影響を受けやすく,写真や画像を用いた二次元的な手法では高精度な評価が難しい。そこで,目もとの印象に影響を及ぼす形状特徴を解明することを目的とし,三次元形状データにおける曲面の局所的な形状を表す三次元曲率を用い,目もと印象との関連性を検討したところ,目袋と瞼頬溝において強い関連性を認めた。したがって,三次元曲率は観察方向に不変であることから,目袋と瞼頬溝の三次元曲率を用いた評価法は客観性が高く,高精度に目もと印象を定量化することが可能であることが明らかとなった。
著者
松本 知大 渡邊 明子 髙木 寛 長谷川 靖司 中田 悟 田中 宏幸
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.9-14, 2018-03-31 (Released:2018-04-18)
参考文献数
11

我が国の関節疾患患者数は増加の一途を辿っており,健康寿命を縮め,介護が必要となる疾患であることから,有効な予防,改善策が望まれている.本研究では,関節軟骨成分の代謝に着目して,関節疾患に有効な食品素材の探索を行った.その結果,ノブドウエキスが炎症性サイトカインによるNFκBシグナルの亢進を抑制することで,ヒアルロン酸の代謝異常を改善することを見出した.また具体的な効果として,コラーゲン誘発関節炎マウスに対する関節炎発症抑制効果も示した.ヒト有効性試験においては,ノブドウエキス含有飲料を3ヶ月間摂取することで,生活活動時の膝関節の違和感,痛み,屈曲角度の改善がみられた.以上の結果より,ノブドウエキスには関節軟骨成分の代謝異常を改善する効果があり,ノブドウエキス含有飲料の摂取により関節疾患を予防,改善する効果が期待できる.