著者
ALIMASI Nuerasimuguli 榎本 浩之
出版者
公益社団法人 日本雪氷学会
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.17-30, 2017 (Released:2023-03-01)
参考文献数
31
被引用文献数
1

温暖化が進む北極圏における雪氷状況の監視は気候研究にとって重要である.北極域の調査・研究活動も活発化している中で,雪氷変化は大気,海洋,陸域など様々な変化に関係するため重要な観測項目になる.また,既に得られた観測データの地域や時期の代表性評価についても,時間的・空間的に連続した長期衛星観測が有効な情報となる.さらに,観測前に広域・長期情報より調査の地域や期間を効果的に選定することにも衛星観測は有効である.本研究では,日射のない極夜でも観測可能で,雲や霧など天候の影響を受けにくいマイクロ波観測データより,積雪期間と融雪期間の推定を行なった.注目した北極域は,日本の観測グループが活動している地域を中心に,北アメリカの高緯度域,シベリア,スカンディナビア周辺域及びスバールバル諸島,グリーンランドである.北アメリカでは南部から北東方向に向かっての融雪域の移動により,7月にはグリーンランド,スバールバルに至る.グリーンランドでは,南部の顕著な融解に対し,北部の内陸高所ではほとんど融解が起きていないが,最高所においてもDAVより融解の可能性を探査できる.ユーラシア大陸ではスカンディナビアなどの西部からシベリア方面の東部への融雪域の移動などが観察され,大陸による違いや南部や東西の傾向の差が観察された.

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@xNSDbTPQrARwLV2 @tasaburoyamada 極地だと地上の積雪計の観測密度は低いので、衛星や航空機にマイクロ波放射計積むとかして観測してますね https://t.co/SqA4xR6VDi それでもシベリアやアラスカは年間降水量があまり多くないので、何やかんや日本の方が降雪量多そう

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