著者
寺田 征也
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.45-71, 2019-10-16 (Released:2021-10-24)
参考文献数
27

本稿はプラグマティズムの政治思想における二つの流れ――民主主義論とアナキズム論――の検討を通じて、今日の民主主義論に対する貢献可能性について考察する。 プラグマティズムにはR・W・エマソン、J・デューイ、R・ローティらによる民主主義論の伝統がある。かれらは、公衆間での協働と対話の文化、そして科学的な態度と文化の涵養を重視している。他方で、H・D・ソローや鶴見俊輔によるアナキズム論の系譜は、法に抵触することであっても自らの私的な信念に基づく正しい行為が、他者との協働的な社会運動への呼び水となることを論じる。そしてこの二つの流れを架橋し、プラグマティズムの政治思想を深める可能性を持つのが、C・ウェストによる「預言的プラグマティズム」である。 今日の政治状況は「反省か、抵抗か」「上か下か」といった選択が強いられているが、私的なものに依拠した下からの抵抗可能性を、プラグマティズムのアナキズム論は持つ。

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