著者
鈴木 伸生
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.137-166, 2016-05-30 (Released:2021-12-29)
参考文献数
56

健康に対する集団の社会関係資本の効果は、当該集団の「文脈効果」によって生じるのか、それとも「メンバー個人の社会関係資本」によるのか。この問いにこたえるために、本稿では、結束型集団としての大学クラブ・サークルを対象に、集団の構造的・認知的社会関係資本が成員の主観的健康に及ぼす影響について、個人レベルと集団レベルの双方から検討した。 二〇一二年二月~三月にかけて総合大学の学生を対象に実施した調査データを用いて、ロジスティック回帰分析を行った結果、第一に、結束型集団では、集団レベルの構造的社会関係資本のみが主観的健康を促進していた。第二に、結束型集団では、従来健康に対して影響をもつと想定されてきた認知的社会関係資本の文脈効果は、構造的社会関係資本の文脈効果によるものであった。 以上の知見は、先行研究で未検討だった集団の構造的社会関係資本が、主観的健康に対して主要な役割を果たす点を示唆している。ただし、その効果は、一つの結束型集団に所属する個人においてのみ、有効である可能性がある。

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