著者
鈴木 伸生
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.115-128, 2019-08-30 (Released:2021-02-26)
参考文献数
41

本稿の目的は,集団のネットワーク構造がLinの社会関係資本の形成に及ぼす影響について,Coleman,Burt,Putnamの理論に依拠したネットワークの閉鎖性/開放性を表す閉鎖的/開放的集団への参加効果に関する仮説を検証することである.日本の代表的な大規模調査JGSS 2012データを用いて,多変量解析(Heckit, ZINB)を行った結果,第1に,開放的集団への参加数が多い個人ほど,豊かな社会関係資本(一般的社会関係資本,拡張性,上方到達可能性,異質性)を形成していた.第2に,閉鎖的集団への参加数が多い個人ほど,アクセス可能な地位の総数(拡張性)を多く形成していた.以上の知見は,豊かな社会関係資本の形成に対するネットワークの開放性の重要性を示唆している.
著者
鈴木 伸生
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.98, pp.137-166, 2016-05-30 (Released:2021-12-29)
参考文献数
56

健康に対する集団の社会関係資本の効果は、当該集団の「文脈効果」によって生じるのか、それとも「メンバー個人の社会関係資本」によるのか。この問いにこたえるために、本稿では、結束型集団としての大学クラブ・サークルを対象に、集団の構造的・認知的社会関係資本が成員の主観的健康に及ぼす影響について、個人レベルと集団レベルの双方から検討した。 二〇一二年二月~三月にかけて総合大学の学生を対象に実施した調査データを用いて、ロジスティック回帰分析を行った結果、第一に、結束型集団では、集団レベルの構造的社会関係資本のみが主観的健康を促進していた。第二に、結束型集団では、従来健康に対して影響をもつと想定されてきた認知的社会関係資本の文脈効果は、構造的社会関係資本の文脈効果によるものであった。 以上の知見は、先行研究で未検討だった集団の構造的社会関係資本が、主観的健康に対して主要な役割を果たす点を示唆している。ただし、その効果は、一つの結束型集団に所属する個人においてのみ、有効である可能性がある。
著者
鈴木 伸生
出版者
東北社会学研究会
雑誌
社会学研究 (ISSN:05597099)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.193-220, 2015-07-10 (Released:2022-01-21)
参考文献数
43

本稿では、日本の新規大卒就職において、OBへのアクセスとその効果に格差が存在するのかどうかを検証した。一九八八-二〇〇六年に初職についた大卒者を対象に、代表性のあるJLPSデータを用いて分析を行った。 まず、OBへのアクセスについて検討した。その結果、高ランク大学の社会科学系への所属、サークル・部活動への熱心な参加によって、OBへのアクセスが促された。 次に、大企業・官公庁への入職に対するOB利用の効果を検討した。その結果、OB利用の主効果が見られる一方で、大学ランクとOB利用の交互作用効果は確認されなかった。 このように、OBへのアクセスには、高ランク大学の社会科学系か否かによって大きな格差が存在する一方で、OB利用の効果には、そのような格差は見られなかった。さらに、本稿の知見は、サークル・部活を経由するネットワーキングが、OBへのアクセス機会を増やす可能性を示唆している。