著者
中川 貴史 中村 健太郎 笠岡 祐二 村田 将光 西村 健二 瀬崎 和典 野田 誠 鈴木 文男
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.SUPPL.3, pp.S3_28-S3_33, 2011 (Released:2012-12-05)
参考文献数
4

持続する上室性頻拍においてP波とQRS波の出現タイミングは一定であり, 通常その関係が変化することはない. 頻拍中, 陰性P波の出現時相が, さまざまに変化したため, P波がQRS波に重なり, QRS波高が減少した房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)の稀な1例を経験したので報告する.症例は71歳, 女性. 月に1~2回の頻拍発作を認め入院. 心臓電気生理学的検査よりAVNRTと診断された. 入院前に記録された頻拍時の心電図では, 頻拍周期540~440ms, QRS波の直後に深い陰性P波を認めた. 頻拍周期の短縮に伴い逆行性P波は早い時相に移動し, QRS波形を変形させた. 軽度の前方移動ではS波を, より高度の前方移動ではQ波を, 中等度の前方移動ではS波とQ波を同時に形成し, QRS波形をさまざまに変形させた. QRS波高も同時に減少したが(陥没現象), 陰性P波の“重なり”効果によると推察された.

言及状況

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@ECGEPSCADEVICE @Cave202102 自粛先生、この症例も同じような現象でしょうか? 機序は解明されていないようですが、伝導様式が一拍ごとに変わっていると考えると良いのでしょうか?
@zvTG35VrHvNm0sM https://t.co/PMFfSvTBuT こちらでいかがでしょうか

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