著者
小西 行郎
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.231-235, 2016 (Released:2017-03-23)
参考文献数
16

ヒトは46時中リズムのなかで生きている。呼吸も心拍も運動も発声も睡眠もリズムを持っていて,そしてその始まりは胎児から。最近,こうしたリズムの発生と発達の異常に注目が集まっている。それは発達障害とりわけ自閉症スペクトラム障害(以下ASDと略す)といわれる疾患についてである。長い間社会性やコミュニケーションの障害と繰り返される行動の異常とが主体であるされ,行動観察などをもとに診断されてきたASDについて,最近では心拍数が多く,揺らぎが少ないこと,サーカディアンリズムの障害,コルチゾールの分泌など内分泌機能のリズムの障害,さらにはインスリンの分泌リズムの障害などがあることが報告されるようになってきた。つまり,個体内での細胞レベルでの同期現象の異常と個体間のリズム同期の異常などの生体機能リズムの障害がASDの本体ではないかと考えられるのである。こうした立場からASDの原因や症状の発生メカニズムをあきらかにすることは単にASDの診断や療育を変えるだけではなく,その疾患概念そのものを大きく変えることになるであろう。

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4/100 【 ASD 】 ✔︎生体機能リズム異常 ・新生児期の睡眠障害約60% ・心拍数↑、揺らぎ↓ ・細胞レベルのリズム同期障害 ✔︎睡眠障害仮説 ・代謝経路障害、遺伝子異常 ・ウルトラディアンリズム異常 ✔︎Chronodisruption仮説 ・生活習慣乱れ → 生体機能異常起こす https://t.co/Lv5UJgHqDS
@rinatie_ceo @CyMuPe ASDの場合セロトニン-メラトニンの代謝経路に異常がある場合があるらしいのでメラトニン摂取が手っ取り早いかと https://t.co/fXeC3qafmF

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