著者
菊池 良和
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.231-235, 2019 (Released:2020-04-28)
参考文献数
24

吃音症の遺伝学的研究は,2010年以降GNPTAB,GNPTG,NAGPA,AP4E1の4つの遺伝子が同定された。その4つの遺伝子は,ライソゾーム酵素輸送経路に関係した遺伝子であることが示唆されている。GNPTAB,GNPTGはムコリピドーシスII, III型の原因遺伝子とされているが,変異の場所が異なり,吃音者でそれらの遺伝子を持っても,ムコリピドーシスII, III型を発症する人はいない。遺伝子が特定されたことにより,遺伝子組み換えの吃音マウスの研究発表があり,また,吃音者において遺伝子保有の有無により言語療法の治療効果の差が示唆された。ライソゾーム酵素輸送経路の障害は脳の白質形成異常をもたらすことも示唆され,今後,遺伝子に基づいた研究が展開していくのだろう。

言及状況

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吃音遺伝子GNPTAB,GNPTG,NAGPA,AP4E1ごとに有効な言語訓練って違うらしくて遺伝子検査から吃音治療は始まる時代に入ってるっぽい。 遺伝子研究全盛期なので何でもかんでも遺伝子変異を特定して治療技術革新して欲しいのが本音。 https://t.co/0mNHkFY97O
吃音症患者に特徴てきな遺伝子が同定されていると。 「その 4 つの遺伝子は,ライソゾーム酵素輸送経路に関係した遺伝子であることが示唆されている。」 https://t.co/dtQp4Wh218
吃音症の遺伝学 「図 1 ライソゾーム酵素標的経路と吃音原因遺伝子の役割」わかりやすい https://t.co/lkwL5k8gqw

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