著者
筒井 美紀
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.55-67, 2020-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1

学校の機能というと,人は教育機能(人的資本の蓄積)をまず思い浮かべがちだが,学校は地域社会・労働市場との「つながり」(社会関係資本)を創る機能も担ってきた。教育機会を平等にしても「マシュー効果」は消えないし,ハイテク社会でも低賃金・低スキルに留め置かれる人々が依然必要とされることを考えれば,労働供給サイド偏重の社会投資戦略(ヨーロッパがそうである)の限界は明らかである。したがって,「つながり」を創る機能を重視する「地域内蔵アプローチ」が,とりわけ「課題集中高校」では必要ではないか。すなわち,在学中・卒業後の移行パスを「なだらか」にする,言い換えれば,地域労働市場を参入しやすく留まりやすくしようとするアプローチである。これに関する本稿の,大阪府立西成高校とAダッシュワーク創造館の協働の事例からは,しかし,学校の資源的限界が明らかだ。ゆえに,各スケールでの制度的再調整が不可欠である。

言及状況

外部データベース (DOI)

Twitter (1 users, 1 posts, 3 favorites)

筒井美紀(2020)「『つながり』を創る学校の機能」 「労働供給サイド偏重の社会的投資戦略の限界は明らかである。それゆえ、困難を抱えた生徒たちのニードは、彼らが働き生活をする地域社会への移行パスを『なだらか』にすることによっても充たすことが不可欠ではないか。」 https://t.co/H6HLhpQlFT

収集済み URL リスト