著者
大澤 優真
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.99-110, 2020-06-30 (Released:2022-06-30)
参考文献数
21

本稿では,地方自治体による外国人保護の法的根拠や正当性およびその限界について論じた。現在,外国人の生活保護を規定している通知が,地方分権化によって地方自治法上の技術的助言へと変化し,地方自治体が行う外国人保護の法的根拠が不明確化している。その状況下から,排外主義運動が地方自治体に対して,地方自治体が外国人保護を行う法的根拠や正当性を問う住民監査請求や裁判を起こしている。そこで,本稿ではそれら資料の分析を通して,地方自治体はどのように法的根拠や正当性を示しているのか明らかにした。その結果,地方自治体は「寄附又は補助」として外国人保護を行っており,地方自治体の裁量次第で外国人保護を行うか否か判断できる状況にあることが明らかとなった。以上を踏まえ,地方自治体の裁量の問題性,国の費用負担の根拠の不透明性,難民条約の観点から,通知に基づく保護は限界にあり,外国人保護の法制化が求められると指摘した。

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必読と言って良いと思います。 そもそも社会権の保証が法令に基づかないというのがおかしい。 地方自治体による外国人保護 ―通知に基づく保護の限界― 大澤 優真 https://t.co/PLQrTUld3H
外国人生活保護の論文を紹介します。 排外主義者は「外国人帰れ」と裁判、住民監査請求で訴え、対する自治体は保護の根拠を示しています。 生活保護では外国人への保護を禁止していないため、公益性から同じ「住民」として扱い、地方自治法上「寄附又は補助」しています。 https://t.co/AIBtl2SqDS

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