著者
御旅屋 達
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.106-118, 2015-12-25 (Released:2018-02-01)
被引用文献数
2

本稿では,「居場所」を提供しようとする支援への利用者の参加の経験を,参入-定着-退出の3段階に分節化し,就労・就学に代表される,外部社会への参加までの過程を連続的・動態的に明らかにすることを試みた。分析の結果,「居場所」支援の利用者たちは数々の社会的実践から「周縁化」されているが故に,「居場所」への参加にも困難を伴っており,支援者たちは利用者の責任の度合いを下げる形で利用者を「居場所」の「周辺」に位置づけようとしていること,こうした「居場所」利用者としてのアイデンティティの構築を経て,利用者は一般社会で広く通用する汎用的な資源を「居場所」に見出していること,外部社会への参加後は「居場所」利用者としてのアイデンティティは否定されること,などが明らかになった。こうした「居場所」への参加過程を「居場所」と外部社会の「二重の成員性」を獲得する過程として位置づけた。

言及状況

外部データベース (DOI)

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「就労支援と『居場所』提供型支援の関係は二項対立でも一方への収斂でもなく、連続的かつ重層的なものとして構想されるべきであろう」 J-STAGE Articles - 若者自立支援としての「居場所」を通じた社会参加過程 : ひきこもり経験者を対象とした支援の事例から https://t.co/007GLcUs0O
@rirqgl 御旅屋さんは1つの子どもシェルターを調べ続けてる人。その論文の1つ。わかりやすいかも。 https://t.co/3SEkvGMDvg 普段の居場所については色んな人が色々言っています。この人は俺が好きって話です。 https://t.co/MCNasQch3O

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