著者
林 雄亮
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.189-209, 2007-07-20 (Released:2013-10-23)
参考文献数
24

本稿の目的は,人々の格差に対する意識の実態を調査分析によって明らかにすることである.用いるデータセットは「2006年格差と不平等に関する仙台市民意識調査」である. 本調査研究で扱った社会格差は,大学進学機会,就職機会,職業上の成功機会,所得,資産,医療サービス受給機会,年金の格差である.これらの格差に対する意識は格差認知(どのくらいの格差があると認知されているか)と格差許容度(認知された格差が許容できるかどうか)に区別される.それぞれの分布は格差の種類によって異なり,全体的には機会の格差は小さく,結果の格差は大きく認知され,福祉の格差についての許容度が低く,所得や資産の格差についての許容度が高いことがわかる.そしてこれらの格差意識は,因子分析の結果,従来の伝統的な階層意識とは別の次元に存在している.さらに,格差意識と社会的属性との関連では,比較的低地位者の格差認知が高く,格差許容度が低い.しかしながら,多変量解析の結果,社会的属性の影響は決して強くはない.

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