著者
何 淑珍
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.95-106, 2014-07-25 (Released:2015-08-24)
参考文献数
10
被引用文献数
1

本稿は,北海道の根釧パイロットファーム開拓事業によって入植した開拓初代女性の自発的文化活動を対象とした事例研究である.本稿の課題は,対象者が日々の日常生活において農業に携わりつつ家事育児をこなしながら,どのように自らの生活文化を形成させてきたのかを明らかにすることである.開拓女性の入植から今日に至るまでの生活史を追うことによって,根釧パイロットファームという社会的条件に,対象者はどのように向かい合い,結果的にどのような新たな社会的条件を作り上げようとしているのかを焦点に検討した.女性の文化活動が,家族経営である農家生活において,家族内人間関係の円滑化および生活,生産両面における家族生活の安定化を促進させた.そしてその活動が地域の同世代および世代間の交流の場と機会を提供することにつながり,結果的に地域に新たな生活文化が形成されつつあることが明らかとなった.

言及状況

外部データベース (DOI)

はてなブックマーク (1 users, 1 posts)

収集済み URL リスト