著者
岩尾 紘彰
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.115-125, 2017-12-26 (Released:2019-01-28)
参考文献数
10

ハーバーマスによれば,「体系的に歪められたコミュニケーション」は「人格どうしの関係の物化」を表現するものであり,人格の社会化に関する「病的生成の研究の出発点にならねばならない」.しかし,ハーバーマスは『コミュニケーション行為の理論』でこのように述べてはいるものの,その内容をつまびらかにはしていない.「体系的に歪められたコミュニケーション」に関するアイディアを読み手の側で展開していくためには,『コミュニケーション行為の理論』の「体系的に歪められたコミュニケーション」に関する2つの疑問を解決しておく必要がある.そのために,本稿では,「コミュニケーション病理の考察」という論考の「体系的に歪められたコミュニケーション」の論理を話し手と聞き手とのやりとりに注目して明らかにする.「コミュニケーション病理の考察」の「体系的に歪められたコミュニケーション」の側から『コミュニケーション行為の理論』の「体系的に歪められたコミュニケーション」に光を当てることで,2つの疑問を解決するとともに以下のことが明らかになった.それは,「体系的に歪められたコミュニケーション」に関するアイディアをわたしたちが展開していくためには,『コミュニケーション行為の理論』の「体系的に歪められたコミュニケーション」の意義を「操作」や「コミュニケーション病理」との概念的なつながりのなかで明らかにする必要がある,ということである.

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