著者
田中 茜
出版者
東北社会学会
雑誌
社会学年報 (ISSN:02873133)
巻号頁・発行日
vol.48, pp.175-183, 2019-08-30 (Released:2021-02-26)
参考文献数
19

本稿の目的は,女性の離職行動に配偶者が及ぼす影響を捉えることを通じて,1960年代以降の女性の就業選択のメカニズムを明らかにすることである.離職が生じやすいタイミングの一つである結婚に着目し,妻の結婚離職に結婚時の夫の従業先規模が及ぼす影響を検討した.1995年,2005年,2015年のSSM調査を用いて分析を行った結果,大企業に勤務する男性と結婚した女性の結婚離職が促されるという関連が示された.またその関連は1960年代から1980年代結婚コーホートまで確認されるものの,1990年代以降では確認されなかった.この結果から,結婚時における妻の就業選択が夫の従業先規模に依存するという状況は1990年代を境に消失したと結論づけることができる.1990年代は人々の女性就業に対する意識が徐々に変化し始めた時期であり,それに伴い女性の就業に関する意思決定が変化したと考えられる.

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