著者
野村 亮太
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.5-15, 2021 (Released:2022-03-31)

本研究の目的は、落語家の師弟関係の系譜に対して、ネットワーク分析を適用することで、職業落語家が出現して以降の約230年に渡り続いてきた落語の師弟関係ネットワーク(i.e., 落語家ネットワーク)の特徴を定量的に明らかにすることであった。古今東西落語家系図を基礎資料としてネットワーク分析を行った結果、落語家ネットワークは平均次数2.00を示す木構造であり、かつ、スケールフリー性を有することが明らかになった。この結果から、新たな入門者が弟子になって落語家ネットワークが拡大する際に、優先的選択(Barabasi & Albert, 1999)というメカニズムが関与する可能性が示唆された。また平均次数が2.00であることからは、この状況が続けば、落語ネットワークが頂点(落語家)数を維持しながら、拡大し続けることが示唆された。最後に、今後の研究の展望として、落語家ネットワークをテンポラル・ネットワークとして分析する重要性について議論した。

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野村亮太「落語の師弟関係ネットワークの定量分析:芸の継承の系譜」笑い学研究28号 (2021) https://t.co/qzo4ud7ec9 本研究の目的は、落語家の師弟関係の系譜に対して、ネットワーク分析を適用することで、職業落語家が出現して以降の約230年に渡り続いてきた落語の師弟関係ネットワークの特徴を…

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