- 著者
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足達 太郎
鳥海 航
大川原 亜耶
高橋 久光
- 出版者
- 東京農業大学
- 雑誌
- 東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.3, pp.259-263, 2008-12 (Released:2011-07-26)
キャベツ畑に、ハーブ類のカモミール(カミツレ)およびキンレンカ(ノウゼンハレン)をそれぞれ混作した区と、キャベツを単作して化学合成殺虫剤を施用した区および施用しない区をもうけ、キャベツの主要害虫であるダイコンアブラムシ・モンシロチョウ・コナガの個体数変動と捕食寄生性天敵による寄生率を比較した。試験の結果、各害虫ともそれぞれの個体数がほぼピークとなる時期に、処理区間で個体群密度に有意な差がみられた。ダイコンアブラムシは、カモミール混作区における個体群密度がキンレンカ混作区やキャベツ単作/殺虫剤無施用区または施用区よりも高かった。モンシロチョウの幼虫個体数は、キャベツ単作/殺虫剤無施用区>キンレンカ混作区>カモミール混作区>キャベツ単作/殺虫剤施用区の順に多かった。また、モンシロチョウの卵数は、両ハーブの混作区における値がキャベツ単作区(殺虫剤施用および無施用)における値よりも多かった。コナガは、キャベツ単作/殺虫剤施用区およびカモミール混作区で幼虫の個体数が多かった。いっぽう、モンシロチョウの幼虫におけるアオムシコマユバチの寄生率は、キャベツの生育中期において、キンレンカ混作区およびキャベツ単作/殺虫剤無施用区で最も高かった。これに対し、コナガ幼虫におけるコナガコマユバチの寄生率は、処理区間で有意な差は認められなかった。