著者
足達 太郎 小路 晋作 高須 啓志 MIDEGA Charles A. O. KHAN Zeyaur R. MOHAMED Hassan RUTHIRI Joseph M. 中村 傑 TAMO Manuele YUSUF Sani R.
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

アフリカの食用作物栽培ではかねてより、おとり作物の利用や混作といった持続的手法がもちいられてきた。本研究では、こうした手法がトウモロコシやササゲなどの食用作物を加害する害虫やその天敵の生態にどのような影響をおよぼすのかをあきらかにした。さらにこれらの手法を、昆虫病原ウイルスや導入天敵といったあらたな害虫防除資材とくみあわせることにより、合理的かつ経済的な環境保全型害虫管理体系を構築することを検討した。
著者
足達 太郎 鳥海 航 大川原 亜耶 高橋 久光
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.259-263, 2008-12-10
被引用文献数
1

キャベツ畑に,ハーブ類のカモミール(カミツレ)およびキンレンカ(ノウゼンハレン)をそれぞれ混作した区と,キャベツを単作して化学合成殺虫剤を施用した区および施用しない区をもうけ,キャベツの主要害虫であるダイコンアブラムシ・モンシロチョウ・コナガの個体数変動と捕食寄生性天敵による寄生率を比較した。試験の結果,各害虫ともそれぞれの個体数がほぼピークとなる時期に,処理区間で個体群密度に有意な差がみられた。ダイコンアブラムシは,カモミール混作区における個体群密度がキンレンカ混作区やキャベツ単作/殺虫剤無施用区または施用区よりも高かった。モンシロチョウの幼虫個体数は,キャベツ単作/殺虫剤無施用区>キンレンカ混作区>カモミール混作区>キャベツ単作/殺虫剤施用区の順に多かった。また,モンシロチョウの卵数は,両ハーブの混作区における値がキャベツ単作区(殺虫剤施用および無施用)における値よりも多かった。コナガは,キャベツ単作/殺虫剤施用区およびカモミール混作区で幼虫の個体数が多かった。いっぽう,モンシロチョウの幼虫におけるアオムシコマユバチの寄生率は,キャベツの生育中期において,キンレンカ混作区およびキャベツ単作/殺虫剤無施用区で最も高かった。これに対し,コナガ幼虫におけるコナガコマユバチの寄生率は,処理区間で有意な差は認められなかった。
著者
足達 太郎 石川 忠 岡島 秀治 Taro Adati Ishikawa Tadashi Shuji Okajima
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.267-276, 2010-03

上越市の西部中山間地域の二つの集落において,慣行農法および有機農法を実施している水田から,はらいおとし法によって節足動物を捕獲し,害虫・天敵・その他に区分したうえで,種(種群)ごとの生息密度と種多様度を調査した。捕獲した全サンプルのうち,害虫は個体数比率で70%を占めたのに対し,天敵とその他の節足動物はそれぞれ16%および14%にとどまった。類別にみると,害虫のなかではウンカ・ヨコバイ類が大多数をしめ,そのほかにガ類やコウチュウ類が捕獲された。天敵のなかではクモ類が大多数をしめた。その他の節足動物ではトビムシ類が大半をしめ,ほかにユスリカ類が捕獲された。集落別・農法別にみた害虫および天敵の生息密度は,年次や季節によって変化がみられた。このような発生消長はウンカ・ヨコバイ類,フタオビコヤガ,クモ類でも顕著だった。二元分散分析の結果,集落のちがいが生息密度に有意な影響をおよぼすのは,セジロウンカなどをふくむ5種および8種群の節足動物であることがわかった。いっぽう,農法のちがいが生息密度に有意な影響をおよぼすのは,クモ類などをふくむ2種および6種群であり,そのうち1種群以外はすべて生息密度が慣行区よりも有機区で高かった。各調査区について種の多様度指数(H′)をもとめたところ,吉浦よりも大渕で害虫の種多様度が高く,また慣行区よりも有機区のほうが高かった。天敵では集落間・農法間とも種多様度に顕著な差はみられなかった。本研究の結果,有機区での生息密度が高く,年次ごとに比較的安定した密度推移を示すことがわかったクモ類については,今後,さまざまな種類の農法が水田生態系におよぼすインパクトを評価するための指標生物として活用できる可能性がある。
著者
足達 太郎 鳥海 航 大川原 亜耶 高橋 久光
出版者
東京農業大学
雑誌
東京農業大学農学集報 (ISSN:03759202)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.259-263, 2008-12 (Released:2011-07-26)

キャベツ畑に、ハーブ類のカモミール(カミツレ)およびキンレンカ(ノウゼンハレン)をそれぞれ混作した区と、キャベツを単作して化学合成殺虫剤を施用した区および施用しない区をもうけ、キャベツの主要害虫であるダイコンアブラムシ・モンシロチョウ・コナガの個体数変動と捕食寄生性天敵による寄生率を比較した。試験の結果、各害虫ともそれぞれの個体数がほぼピークとなる時期に、処理区間で個体群密度に有意な差がみられた。ダイコンアブラムシは、カモミール混作区における個体群密度がキンレンカ混作区やキャベツ単作/殺虫剤無施用区または施用区よりも高かった。モンシロチョウの幼虫個体数は、キャベツ単作/殺虫剤無施用区>キンレンカ混作区>カモミール混作区>キャベツ単作/殺虫剤施用区の順に多かった。また、モンシロチョウの卵数は、両ハーブの混作区における値がキャベツ単作区(殺虫剤施用および無施用)における値よりも多かった。コナガは、キャベツ単作/殺虫剤施用区およびカモミール混作区で幼虫の個体数が多かった。いっぽう、モンシロチョウの幼虫におけるアオムシコマユバチの寄生率は、キャベツの生育中期において、キンレンカ混作区およびキャベツ単作/殺虫剤無施用区で最も高かった。これに対し、コナガ幼虫におけるコナガコマユバチの寄生率は、処理区間で有意な差は認められなかった。