著者
冨澤 康子 西田 博 遠藤 真弘 小柳 仁
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR ARTIFICIAL ORGANS
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.496-499, 2000-05-15

代用心膜およびパッチ材などの医用材料を用いて左室瘤の外科治療を行った患者の追跡調査を行った.【方法】患者86例のうち, 退院したのは76例で, 生死が確認されていない37例に対し, アンケート用紙を送付した.なお, 当院では左室瘤の外科治療後の予後調査は初めてである.【結果】1ヵ月以内に返事が得られたのは20例で, 生存17例, 患者死亡との返答3例.宛先不明での返送13通, 回答なし3通.16例のうち, 3例は紹介先の病院, 2例は過去の勤め先, 3例は市役所へ問い合わせて死亡が判明した.さらに法務局へ申請し調査したが, 本籍が不明の症例は追跡できず, 最終的に手術した患者の生存あるいは死亡が83例 (95.3%) 確認された.【結語】日本がますます多様化, 複雑化する医療用具の消費大国であることを考えると, 埋植医療用具の追跡調査のためには全国民が有し, 常に住所などの情報が更新される健康保険システムの利用, および自治省, 法務省, 厚生省の省庁間の協調によるデータベース作成などが望ましいことが示唆された.

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