著者
神 勝紀 唐澤 豊 関川 堅
出版者
日本万国家禽学会
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.12-18, 2000-01-25
参考文献数
13
被引用文献数
4

飼料誘導性熱産生がニワトリの体温調節に関与するかどうかを調査する目的で,摂食鶏と絶食鶏の耐寒性を比較検討した。ブロイラー雄(3週齢)を26&deg;C(&plusmn;1&deg;C)に調節した恒温室に収容し,摂食区(4羽)には実験開始直前まで,絶食区(5羽)には実験開始2日前まで飼料と水を自由摂取させた。絶食区には実験前の2日間水だけを給与した。実験は30から32日齢の間に行った。環境に順応させるために,ニワトリを26&deg;C(&plusmn;1&deg;C)に調節した温度調節チャンバー内に個別に収容して24時間放置した後に,チャンバー内の気温を26&deg;Cから5&deg;Cまで3&deg;Cずつ低下させ,体表温,直腸温,心拍数およびふるえを耐寒性の指標として測定した。<br>体表温は気温26&deg;Cのとき両区とも約39.3&deg;Cであり,気温低下に伴って両区とも同程度の低下を示したが,摂食区の方がばらつきが大きかった。直腸温は気温26&deg;Cのとき摂食区と絶食区との間に有意差は認められず,摂食区では気温低下に関わらずほぼ一定であったが,絶食区では気温23&deg;Cから低下し始あ,8&deg;Cのとき最低になった。心拍数は気温26&deg;Cのとき摂食区の方が絶食区よりも有意に多く,摂食区では気温低下に伴って漸増したのに対し,絶食区では気温20&deg;Cまで変化せず,その後急激に増加した。最初のふるえが確認された気温は摂食区では4羽とも17&deg;Cであったが,絶食区では5羽中2羽が17&deg;C,3羽が14&deg;Cであった。<br>以上から,飼料誘導性熱産生はニワトリの体温調節に一部利用されること,および下限臨界温度は絶食によって低下する可能性が示唆された。

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