著者
中村 光良 光田 佳代 松田 秀喜
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.375-382, 2004-11-20
参考文献数
5
被引用文献数
3

水,本みりん,煮切りみりん,ショ糖溶液及びエタノール溶液で小豆を下ゆでし,煮汁の分析を行い,小豆色素の溶出抑制効果の解明を行った。さらに,ショ糖溶液で蜜煮にした小豆のてりつやの測定によりてり・つや付与効果,胴割れ豆,軟化豆,軟化未了豆の割合,テクスチャーの測定を行い,煮崩れ防止効果について解明を行った。1.下ゆで時の煮汁の濁度から,小豆の可溶性成分の溶出抑制効果は,溶液に含有する糖であることが示唆された。豆に含まれる赤色色素の溶出抑制に関しては,加熱30分後までについては,糖を含有する区で溶出抑制効果が認められた。ショ糖,煮切りみりん,本みりんでは,本みりんが最も溶出抑制効果が高かった。エタノール及び水では,30分加熱以後,赤色度は増加しなかった。濁度も同様に本みりん20%溶液,煮切りみりん20%溶液,9.2%ショ糖溶液の糖を含有する溶液は,2.8%エタノール溶液及び水よりも濁度が低く,可溶性成分の溶出を抑制している成分は糖であることが示唆された。2.小豆の蜜煮に対するてり・つや付与効果は,本みりんを使用したものが最も高く,本みりんのてり・つや付与効果が確認された。3.小豆の煮崩れ防止に寄与する成分は,糖であるが,糖は煮崩れ防止に寄与すると共に,軟化を抑制することがわかった。また,エタノールは軟化を促進するため,本みりんのように両成分を含有する調味料が煮崩れを防止し柔らかい豆を得ることが可能であることがわかった。4.小豆蜜煮においては,柔らかさと食慾の好ましさは一致しており,柔らかい小豆蜜煮を作ることがおいしさにつながることがわかった。本みりんを用いた場合,予め水だけで10分間加熱してザルにあげて,渋切りを行い,その後,本みりん溶液で下ゆでをし,加熱調理することによって,柔らかい小豆蜜煮を得ることが可能である。

言及状況

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製菓材料として売られている、かのこ(鹿の子)豆の作り方が載っている本はないか。

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