著者
山崎 賢悟 津々見 崇
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画. 別冊, 都市計画論文集 = City planning review. Special issue, Papers on city planning (ISSN:09131280)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.163-168, 2007-10-25
参考文献数
12

同業種の小売商業店舗が高密度に集積する専門店街は、広域的な集客力を有することから、商業地が目標とする姿の一つである。専門店街は、街を訪れる人がいることで活気を維持しており、それが減少すれば衰退する危険性がある。そこで本研究では、成熟した専門店街としての「本の街」神田神保町を対象とし、専門店街の継続的発展に関する知見を得ることを目的とする。本研究の結論は以下の通りである。神田神保町は、古本まつりが始まった1960年頃に『本の街』として成熟したと捉えられる。書店数は1995年以降大幅に増加し、近年は約200軒に達する。1995年以降は一般消費者へのメディア露出が高まっている。書店立地は、かつての線的分布から、面的分布に変化した。成熟後もエリア内外の活発な新陳代謝があることで、専門店街の活力を保っている。成熟期以前から立地する書店と、成熟期以後に立地した書店とでは、基本属性や立地の特徴が異なる。成熟した専門店街・神保町エリアでは、象徴的イメージを保つ界隈と、新しい展開を育む界隈の両方があることで、「本の街」としての位置づけを保ちながら継続的に発展することができてきたと総括する事ができる。

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