- 著者
-
長谷川 丈
杉山 大介
熊坂 美紀子
菱沼 美和子
松尾 公美子
井出 壮一郎
田中 聡
鬼頭 剛
- 出版者
- 一般社団法人 日本ペインクリニック学会
- 雑誌
- The journal of the Japan Society of Pain Clinicians = 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.144-149, 2008-04-25
- 参考文献数
- 10
- 被引用文献数
-
7
「電流知覚閾値(患者が感じる最小電気刺激量)」と「痛み対応電流値(痛みと等価の電流量)」から「痛み度」を数値化する知覚・痛覚定量分析装置ペインビジョン<sup>TM</sup>が開発された.疼痛治療の評価におけるペインビジョンの有用性を,治療により疼痛が軽減した16症例(疼痛低下群)と疼痛が軽減しなかった9症例(疼痛不変群)の合計25症例で,視覚的アナログ疼痛スケール(VAS)で評価した痛みの程度(VAS値)との関係から検討した.疼痛低下群では,治療後にVAS値,痛み対応電流値,痛み度は有意に低下し,電流知覚閾値は有意に上昇した.疼痛不変群では,VAS値,痛み対応電流値,痛み度は有意に変化せず,電流知覚閾値は有意に低下した.VAS値と最も強い相関を示したのは痛み度であった.以上より,疼痛の治療前後にペインビジョンで評価することで,痛みという主観的な感覚の変化を,痛み度という数値の変化として表現できることが示された.