著者
牧野 正直
出版者
日本ハンセン病学会
雑誌
日本ハンセン病学会雑誌 = Japanese journal of leprosy (ISSN:13423681)
巻号頁・発行日
vol.79, no.1, pp.25-36, 2010-02-01
参考文献数
18

本年(2009年)は、わが国においてハンセン病患者の公的機関への隔離・収容が開始されて丁度100年目にあたる。すなわち、政府は1907(明治40)年法律第11号「癩予防ニ関スル件」を公布し1909(明治42)年それを施行、放浪する患者の隔離・収容を開始した。</br> この小論で、わが国のハンセン病医療史において最も重要な事項の一つである、この法律の成立にかかわった医師、政治家、官僚がどのようなものであったかを検証した。するとこれは意外に少人数のエリート集団であり、一人ひとりが学閥・同門・同郷などといったしがらみで強く結びつけられていたことが明らかになった。</br> また、この法律は、二回の改正を経ながら89年間維持・継続されることになったが、この維持・継続のためには光田健輔を中心とした系類や光田イズムを信奉し続けた多くの療養所所長たちが浮かび上がって来た。</br> 全療協が主張する「100年の"記念"でも"祝賀"でもなく"総括"である」という言葉を重く受け止めたい。

言及状況

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"このような論を発展させればすべての事象は時代の流れの所為で、その責任の所在が明らかでなくなる。極論すればかつてわが国の行なった太平洋戦争も時代の流れであるから仕方なかったという理論" →2010年論文

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