- 著者
-
梶原 健寛
前馬 恵美子
加賀谷 重浩
井上 嘉則
上茶谷 若
梁井 英之
齊藤 満
遠田 浩司
- 出版者
- 公益社団法人 日本分析化学会
- 雑誌
- 分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
- 巻号頁・発行日
- vol.60, no.8, pp.629-634, 2011-08-05
- 参考文献数
- 22
- 被引用文献数
-
1
5
カルボキシメチル化ペンタエチレンヘキサミン(CM-PEHA)を導入したキレート樹脂を用いてAsを分離濃縮することを目的とし,Fe(III)を担持させたCM-PEHA型樹脂を用い,Asの吸着・溶出に関する基礎検討を行った.Fe(III)担持CM-PEHA型樹脂は,As(V)をpH 4 - 6で最大に吸着した.As(III)はほとんど捕集されなかったが,次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いてAs(III)をAs(V)に酸化することにより吸着可能であった.吸着したAs(V)は水酸化ナトリウム溶液を用いることで容易に溶出でき,ICP発光分光分析にて定量可能であった.これらにより,試料水中のAs(V)量,As(III)とAs(V)との合量をそれぞれ求めることが可能であり,これらの差からAs(III)量を求めることでAs(III)とAs(V)とを分別定量できる可能性が示された.本法は,地下水認証標準物質(ES-H-1)に含まれるAsの定量に適用可能であった.