著者
加藤 敏文 井上 嘉則 上茶谷 若 齊藤 満 加賀谷 重浩 山本 敦
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.335-340, 2012-04-05
参考文献数
21
被引用文献数
5

固相抽出剤形状の多様化を目的として,逆相/陰イオン交換複合モード型ポリマー系吸着剤をポリエチレン粉末で焼結した多孔質円柱状の固相抽出剤を調製し,固相抽出特性を評価した.作製した焼結型固相抽出剤はモノリス様の連続孔を有しており,高流速下でも被検化合物を定量的に抽出可能であった.中性,塩基性及び酸性薬物を用いて抽出特性を調べたところ,中性及び塩基性薬物は疎水性相互作用により明確に保持され,メタノールで定量的に回収された.酸性薬物は疎水性相互作用と陰イオン交換相互作用が加味された複合相互作用により保持され,ギ酸添加メタノールで定量的に回収可能であった.焼結用樹脂の<ruby><rb>撥</rb><rp>(</rp><rt>はっ</rt><rp>)</rp></ruby>水性によるイオン交換相互作用の低下が懸念されたが,その影響はほとんどなく明確なイオン交換相互作用を発現した.本検討で用いた焼結法は円柱状だけでなく多彩な形状の固相抽出剤を作製可能であるため,固相抽出剤の多様化手法として有用である.
著者
田中 大祐 加賀谷 重浩 中村 省吾 酒徳 昭宏
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

富山県の立山浄土山山頂付近と富山大学屋上の2地点で採取した大気試料中の細菌群集と真核生物群集の特徴をPCR-DGGE法で比較した。その結果,立山と富山大学屋上の2地点の細菌群集構造は大きく異なっていると考えられたが,真核生物群集構造は類似している可能性が示された。また,大気から単離した赤色色素産生細菌3株は,紫外線(UV-B,UV-C),乾燥,過酸化水素などの環境ストレスに対して耐性を示し,大気環境中での生存に適した性質を持っていると考えられた。
著者
梶原 健寛 前馬 恵美子 加賀谷 重浩 井上 嘉則 上茶谷 若 梁井 英之 齊藤 満 遠田 浩司
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 = Japan analyst (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.629-634, 2011-08-05
参考文献数
22
被引用文献数
1 5

カルボキシメチル化ペンタエチレンヘキサミン(CM-PEHA)を導入したキレート樹脂を用いてAsを分離濃縮することを目的とし,Fe(III)を担持させたCM-PEHA型樹脂を用い,Asの吸着・溶出に関する基礎検討を行った.Fe(III)担持CM-PEHA型樹脂は,As(V)をpH 4 - 6で最大に吸着した.As(III)はほとんど捕集されなかったが,次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いてAs(III)をAs(V)に酸化することにより吸着可能であった.吸着したAs(V)は水酸化ナトリウム溶液を用いることで容易に溶出でき,ICP発光分光分析にて定量可能であった.これらにより,試料水中のAs(V)量,As(III)とAs(V)との合量をそれぞれ求めることが可能であり,これらの差からAs(III)量を求めることでAs(III)とAs(V)とを分別定量できる可能性が示された.本法は,地下水認証標準物質(ES-H-1)に含まれるAsの定量に適用可能であった.
著者
加賀谷 重浩 川上 智規
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

大気中のガス状原子水銀,粒子状水銀および降水中全水銀,溶存態水銀を,富山県内の複数地点で採取した試料に対して定量した。降水中の溶存態水銀の割合と,大気中浮遊粉塵から純水あるいは塩酸を用いて抽出された水銀の割合とがほぼ一致することを見いだした。また大気中粒子状水銀は,採取期間ごとに異なる粒径別分布を有することを見いだした。これらより,大気中粒子状水銀について詳細に検討することにより,水銀の環境動態に関する情報が得られると考えられた。