著者
辻井 良政 清瀬 紀子 立田 奈緒美 矢口 行雄 内野 昌孝 高野 克己
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.127-134, 2009-05-30
参考文献数
29

本研究で、炊飯において米胚乳細胞壁構成成分のペクチン、ヘミセルロースおよびセルロースの分解と米胚乳酵素の作用について検討した。(1)米飯から抽出したペクチン画分は、精米の同画分に比べ繊維状組織が崩壊し、ヘミセルロースAおよびB画分は密な板状構造が大きく崩壊していた。しかし、セルロースにおいては、明確な差はみられなかった。(2)炊飯外液には、D-ガラクチュロン酸、D-キシロース、D-マンノースおよびD-アラビノース等が検出され、また、これらの糖から構成されたヘテロオリゴ糖が可溶化していることから、米胚乳細胞壁が炊飯中に分解していると示唆された。(3)米飯の各細胞壁多糖画分は、精米の同画分に比べて低分子量領域に変化していることを確認し、特にペクチン画分の変化は顕著であった。(4)米飯の各細胞壁多等画分の構成糖の変化から、ペクチン画分ではD-ガラクチュロン酸が大きく低下し、ヘミセルロースAおよびB画分ではD-キシロースおよびL-アラビノースが増加したことから、各画分で分解を受けている部位が異なると示唆された。(5)米胚乳より調製した酵素液中に、ポリガラクチュロナーゼ、αおよびβ-ガラクトシダーゼ、β-キシラナーゼ、β-グルカナーゼおよびα-マンノシダーゼ活性を確認し、これらの酵素は炊飯中の温度上昇下で作用していると示唆された。以上の結果から、炊飯において米胚乳中に存在する各種細胞壁分解酵素の作用によって、米胚乳細胞壁多糖画分が低分子量化し、米飯の食味形成に対する影響力が示唆された。

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