著者
横山 千鶴子 前田 雪恵 石川 幸枝 鈴木 司 小林 謙一 辻井 良政 髙野 克己 中川 徹 山本 祐司
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.89-95, 2017 (Released:2017-10-31)
参考文献数
24

Serum cholesterol level reduction is an important factor for preventing lifestyle-related disease. Together, search for food materials which reduces serum cholesterol level have come to people' s attention. In this study, we carried out a large-scale and a long-term study to evaluate the effect of brown rice on serum cholesterol level. In brief, we conducted this study using a cross-over design with 90 days of consuming pregelatinized brown rice against non-brown rice. The following results were obtained.1) There was a low drop-out rate: 2.5% (3 of 120 subjects), and many participants replied that this program was easy to join, because the preparing of brown rice was very easy and the contents of the program were very simple.2) Brown rice intake increased bowel movement and improved the participant' s physical condition.3) Serum cholesterol levels were significantly decreased in the subjects starting with abnormal value of serum cholesterol (over 221 mg/dL) by brown rice intake.4) Brown rice intake decreased serum LDL cholesterol in the subjects with initial level of high serum LDL cholesterol (over 140 mg/dL).5) However, serum HDL cholesterol level of brown rice intake group did not change in the subjects of low serum HDL cholesterol levels (under 40 mg/dL). These large-scale studies suggested brown rice has serum cholesterol decreasing effect in people with high cholesterol level.
著者
内野 昌孝 山岸 亨 辻井 良政 高野 克巳
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.47-50, 2003-01-31
被引用文献数
3 2

平成7年の新食糧法施行による規制緩和に伴い、輸入米の増加や国内の米流通の多様化が進む中、消費者の美食指向ともあいまって、銘柄米の品質、食味が一層重視されるようになった。その中で、農林水産省は精米の品種、産地、産年の表示を義務づけ、流通体系についても食糧管理法に定めている。しかし、精米の粒形は品種間で類似するため、うるち米ともち米、ジャポニカ種(短粒)とインディカ種(長粒)など大まかな区別はつくものの、近縁の米同士の品種を外観で見分けることは困難である。そのため、流通過程における異品種混入の事故に当たっては、混入したと思われる個体や次世代の草姿、形態的特徴から品種判別が行われている。しかし、これらの判別法は多大な労力と時間が必要になるにもかかわらず決定的な判別根拠とはなっていない。したがって、精米からの簡易で正確な品種判別法の開発が求められている。米は様々な物質から構成されるが、その主要な成分では、品種の差が見られない。一方、DNAは乾燥、酸化や熱に対して安定で、様々な情報を持ち、微量で実験を行える利点がある。その利点を利用して、うるち米では品種判別が進められているが、もち米では少ない。そこでDNAを利用したもち精米の品種判別を検討した。
著者
西本 有紀 辻井 良政 菱川 美千代 髙野 克己 藤田 明子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-22-00055, (Released:2023-01-06)

本研究では,ブレンド米の食味評価方法に着目し,ブレンド比率による各評価の精度や,ブレンド米の食味について新知見を得られた.1. 酵素活性量測定,粘弾性測定,食味官能評価,機器による食味評価(食味鑑定団),いずれの方法においても,精白米のブレンド比率ごとの予測値と測定値の相関係数はr≧0.57(p<0.05)であり,高い精度で測定ができることがわかった.2. 食味評価が低い精白米のブレンド割合が多くなるにつれ,食味の低下がみられた.ただし,特徴が異なる精白米のブレンドにおいてはその比率による食味の変化が大きく,類似品種のブレンドにおいては,食味の差異が小さいことがわかった.3. ブレンド比率が食味に与える影響は,酵素活性量(β-アミラーゼ,β-ガラクトシダーゼ),粘弾性評価,そして食味評価(食味官能試験・機器測定)により明らかになることがわかった
著者
辻井 良政 清瀬 紀子 立田 奈緒美 矢口 行雄 内野 昌孝 高野 克己
出版者
日本食品保蔵科学会
雑誌
日本食品保蔵科学会誌 = Food preservation science (ISSN:13441213)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.127-134, 2009-05-30
参考文献数
29

本研究で、炊飯において米胚乳細胞壁構成成分のペクチン、ヘミセルロースおよびセルロースの分解と米胚乳酵素の作用について検討した。(1)米飯から抽出したペクチン画分は、精米の同画分に比べ繊維状組織が崩壊し、ヘミセルロースAおよびB画分は密な板状構造が大きく崩壊していた。しかし、セルロースにおいては、明確な差はみられなかった。(2)炊飯外液には、D-ガラクチュロン酸、D-キシロース、D-マンノースおよびD-アラビノース等が検出され、また、これらの糖から構成されたヘテロオリゴ糖が可溶化していることから、米胚乳細胞壁が炊飯中に分解していると示唆された。(3)米飯の各細胞壁多糖画分は、精米の同画分に比べて低分子量領域に変化していることを確認し、特にペクチン画分の変化は顕著であった。(4)米飯の各細胞壁多等画分の構成糖の変化から、ペクチン画分ではD-ガラクチュロン酸が大きく低下し、ヘミセルロースAおよびB画分ではD-キシロースおよびL-アラビノースが増加したことから、各画分で分解を受けている部位が異なると示唆された。(5)米胚乳より調製した酵素液中に、ポリガラクチュロナーゼ、αおよびβ-ガラクトシダーゼ、β-キシラナーゼ、β-グルカナーゼおよびα-マンノシダーゼ活性を確認し、これらの酵素は炊飯中の温度上昇下で作用していると示唆された。以上の結果から、炊飯において米胚乳中に存在する各種細胞壁分解酵素の作用によって、米胚乳細胞壁多糖画分が低分子量化し、米飯の食味形成に対する影響力が示唆された。