- 著者
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大谷 真喜子
- 出版者
- 日本耳科学会
- 雑誌
- Otology Japan (ISSN:09172025)
- 巻号頁・発行日
- vol.22, no.2, pp.123-129, 2012-05-25
- 参考文献数
- 5
数十年間の耳管開放の経験をもとに、症状、開放症分類、治療法、そして開放機序の仮説を、内視鏡所見とともに紹介した。開放症状にレベルがあり、そのレベルによって病的開放は、分単位の発作型と数十分単位の持続型の2種類に分類できる。発作型は体重減少時に下顎挙上して会話した際に突然発症する。持続型は急性中耳炎後に徐々に発症する。治療も異なり、発作型には、嚥下のみ、または、下顎角の内側を上方に圧迫しながら嚥下する方法が著効する。反対に、持続型には嚥下は無効で、同部位への圧迫を持続する方法や生理食塩水を点鼻する方法など症状が消失するまでの時間稼ぎの方法しかない。発作型は内視鏡所見より、耳管軟骨内側板と挙筋との位置異常が原因と考えられるため治療には嚥下が必須であるが、持続型は耳管構成物の体積減少が原因と考えられるため嚥下によっては改善するはずもなく原因が解消されるまでの対処療法しかないと推察した。