- 著者
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衣笠 一茂
- 出版者
- 九州看護福祉大学
- 雑誌
- 九州看護福祉大学紀要 (ISSN:13447505)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.1, pp.107-116, 2003-03
筆者はこれまでの作業において、現在の社会福祉の実践を規定している「原理principle」と、その論理的な基盤を構成している「価値value」についての批判的な検討を行ってきている。そこでは、既存の原理や価値に基づいた実践を構想するだけではもはや解決できない事態が社会福祉という事象の中に出現している点を指摘し、問題を解決しうる新たな社会福祉の理論体系が求められていること、そのためには体系の基礎となる実践の原理と価値を論理的に再構成する研究活動が不可欠であることを主張してきた。本論はかかる主張・関心を具体化するために、どのような研究方法論が有効であるのかを検討するための作業である。具体的には近年社会福祉研究において注目されている質的研究方法論に焦点を当て、その理論的背景を先行業績から検証するとともに、研究課題の達成に向けた質的研究方法論の可能性について考察することを目的とする。This article focuses on the theoretical background and the possibility of qualitative research approach, regarding of the study for the "principle" and "value" of social work practice. Inspired from the discussion of research methodology of social science recently, the purpose of this study is to induce the approach for social work research to find out the possibility which be able to solve the conflict between "theory" and "reality" of social work practice.