- 著者
-
生島 博之
- 出版者
- 愛知教育大学
- 雑誌
- 愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.291-298, 2001-03-30
本論文は,筆者が経験しか軽度の自閉的な児童2名に実施した遊戯治療の経過を報告したものである。小学校3年生男児Yは,遊戯治療の中で,自分が気にいった玩具を他児に使われないようにするために,「使用禁止」等の貼り紙をつくって貼る遊びに熱中したり,特異な思考様式や変わったジェスチャーを示した。また,突飛な感情表現も見られ,ゲーム遊びで負けかかると突然セラピストを殴ろうとした。幼稚園女児H子は,遊戯治療の中で,ママゴト遊びで玩具の食物をいつも口に入れたり,描画などにおいて固執傾向をしめしていたが,治療関係が確立するにつれて改善をみせた。また,イナイナイバァー的な遊びを経て,ゲップやオナラを楽しむようになったりした。これらの経過をふまえ,視線があいにくい自閉的な児童の内的世界などについて考察した。