- 著者
-
生島 博之
- 出版者
- 徳島文理大学
- 雑誌
- 徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
- 巻号頁・発行日
- vol.94, pp.15-28, 2017-09-09 (Released:2018-04-18)
- 参考文献数
- 7
本論文は,大学生298名と教員113名に箱庭を制作してもらい,その作品の中に,「犬」や「猫」が置かれたもの を取り上げ,そこに表現された「犬」イメージと「猫」イメージについて考察したものである。全体の21.7%が「犬」 や「猫」を置いたが,その中で,「犬」や「猫」が主人公(副主人公も含む)であった21の箱庭作品(大学生19,教員2)を分析したところ,「犬」イメージとしては,①番犬,②忠犬,③癒しを与える犬(ペット),④冒険する犬,⑤恋する犬,等がみられ,「猫」イメージとしては,①女神に使える猫,②留守番する猫,③猫になった少女,④癒しを与える猫(ペット),⑤捨て猫,⑥恋する猫,⑦陣地を守る猫,等がみられた。このように,二つの動物の間には,似た意味もあれば,異なる,あるいは独自の意味がある。また,「犬」と「猫」が同時に置かれた箱庭作品においては,「ペットと幸せに暮らす」というものと,逆に,「飼い主に見放されたペット」というテーマが見られた。これらの結果を踏まえ,「犬」イメージと「猫」イメージの差異についても考察した。