著者
生島 博之
出版者
愛知教育大学教育臨床総合センター
雑誌
愛知教育大学教育臨床総合センター紀要 (ISSN:21860475)
巻号頁・発行日
no.2, pp.7-14, 2012-03

32回にわたり,近隣の家々の物干し竿などから女性の下着を盗んだ高校1年生男子A に実施した心理療法(箱庭療法とカウンセリング),および心理テスト(人物画,バウムテスト,TAT)の結果を報告し,下着盗みの心理的メカニズムを分析することにより,Aの内的世界について考察した。
著者
生島 博之
出版者
愛知教育大学教育実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.259-267, 2006-03-15

本論文は,最近5年間あまりにおける少年犯罪を教育臨床心理学の観点から研究したものである。神戸小学生殺傷事件から始まり,黒磯女教師殺害事件,豊川主婦刺殺事件,西鉄高速バス乗っ取り事件,岡山県金属バット殴打・母親殺人事件,等を取り上げ,これらの少年が,犯罪に至るまでにどのような家庭教育や学校教育を受けてきたのか,規範意識が育たなかった,あるいは,規範意識が弱過ぎたのは何故なのか等について考察した。その結果,学校が少年犯罪の『舞台』とならないようにするためには,『怨み』を聞く回路づくりができる教師の実践的指導力が不可欠であり,研修やスーパービジョン制度やスクールカウンセラー(臨床心理上)や関係機関との連携が重要であることが判明した。
著者
生島 博之
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.15-28, 2017-09-09 (Released:2018-04-18)
参考文献数
7

本論文は,大学生298名と教員113名に箱庭を制作してもらい,その作品の中に,「犬」や「猫」が置かれたもの を取り上げ,そこに表現された「犬」イメージと「猫」イメージについて考察したものである。全体の21.7%が「犬」 や「猫」を置いたが,その中で,「犬」や「猫」が主人公(副主人公も含む)であった21の箱庭作品(大学生19,教員2)を分析したところ,「犬」イメージとしては,①番犬,②忠犬,③癒しを与える犬(ペット),④冒険する犬,⑤恋する犬,等がみられ,「猫」イメージとしては,①女神に使える猫,②留守番する猫,③猫になった少女,④癒しを与える猫(ペット),⑤捨て猫,⑥恋する猫,⑦陣地を守る猫,等がみられた。このように,二つの動物の間には,似た意味もあれば,異なる,あるいは独自の意味がある。また,「犬」と「猫」が同時に置かれた箱庭作品においては,「ペットと幸せに暮らす」というものと,逆に,「飼い主に見放されたペット」というテーマが見られた。これらの結果を踏まえ,「犬」イメージと「猫」イメージの差異についても考察した。
著者
生島 博之
出版者
愛知教育大学教育臨床総合センター
雑誌
愛知教育大学教育臨床総合センター紀要 (ISSN:21860475)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.7-14, 2012-03

32回にわたり,近隣の家々の物干し竿などから女性の下着を盗んだ高校1年生男子A に実施した心理療法(箱庭療法とカウンセリング),および心理テスト(人物画,バウムテスト,TAT)の結果を報告し,下着盗みの心理的メカニズムを分析することにより,Aの内的世界について考察した。
著者
生島 博之
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.165-172, 1999-03-29

本論文は,抜毛症の小学生男児2名の遊戯治療の経過を報告したものである。小学校3年生男児Mは,遊戯治療の中で,「女の子を人質にとってハゲにして殺し,最後には自決する銀行強盗」の遊びに熱中し,学校や家庭場面などでは,好きな女の子のあとをつけたり,いたづら電話をかけたりした。小学校4年生男児Yは,箱庭の中で,「流れの悪い川や渋滞する自動車」「ダムに墜落した飛行機」「武術の練習をする兵士」などを表現し,学校や家庭などでは,いたづら電話に熱中したりした。これらのことから,抜毛症の背景として,否定的な自己イメージ,鬱積し内閉された激しい攻撃的感情,いたづら電話に象徴されるようなアクティングァウト傾向と現実感覚の希薄さ,兄弟葛藤,身体境界の不明瞭さ(自他の境界のあいまいさ)等がうかがわれた。
著者
生島 博之
出版者
愛知教育大学教育臨床総合センター
雑誌
愛知教育大学教育臨床総合センター紀要 (ISSN:21860475)
巻号頁・発行日
no.2, pp.7-14, 2012-03

32回にわたり,近隣の家々の物干し竿などから女性の下着を盗んだ高校1年生男子A に実施した心理療法(箱庭療法とカウンセリング),および心理テスト(人物画,バウムテスト,TAT)の結果を報告し,下着盗みの心理的メカニズムを分析することにより,Aの内的世界について考察した。
著者
生島 博之
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.257-264, 2003-03-29

本論文は,盗みなどを主訴としてプレイセラピーを受けることになった児童たちの治療経過を,箱庭を中心として報告したものである。男性遍歴から水商売に生きている母親と同棲中の男性との共同生活を強いられる中で盗みをするようになった小学生男児のYとMは,「ギロチン」という表現をおこなった。Yは,「いたづらするワニを処刑するためのギロチン」を置いたり,「早く戦争がなくなるように」と願って基地にエベスさんを置いたりした。一方,Mは,「ギロチントンネル」という遊びをしたり,「仁義を切る怪獣たち」や「金閣と銀閣にさらわれたお姫さまの救出に向かう孫悟空」を置いたりした。そこで,これらのテーマを掘りさげ,盗みの深層心理に隠されている「怒り」や「淋しさ」の感情について考察した。
著者
生島 博之
出版者
愛知教育大学教育実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
no.7, pp.329-336, 2004-02

本論文は、盗みなどを圭訴としてプレイセラピーを受けることになった小学校3年生男児Nの治療経過を箱庭を中心として報告したものである。Nは、世の中のすべてが面白くないといったブスッとした表情で箱庭をつくり、猛獣に食い殺されるキリンや乳牛、そして、怪獣にやられるウルトラマンをロボワル兄弟と一緒になって応援する孫悟空、等を置きながら、「正義あらへん」と苦笑した。その後、Nは治療がすすむにつれて、「怪獣に奪われた母親」や「人質になった妻子のために身代わりになって悪人に撃ち殺される父親(銀行強盗)」「父母の住む動く家(タクシー)の火事」等の象徴的な遊びをおこなった。そこで、これらの象徴的な遊びの意味を掘りさげ、盗みの心理的メカニズム等について考察した。
著者
生島 博之
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.291-298, 2001-03-30

本論文は,筆者が経験しか軽度の自閉的な児童2名に実施した遊戯治療の経過を報告したものである。小学校3年生男児Yは,遊戯治療の中で,自分が気にいった玩具を他児に使われないようにするために,「使用禁止」等の貼り紙をつくって貼る遊びに熱中したり,特異な思考様式や変わったジェスチャーを示した。また,突飛な感情表現も見られ,ゲーム遊びで負けかかると突然セラピストを殴ろうとした。幼稚園女児H子は,遊戯治療の中で,ママゴト遊びで玩具の食物をいつも口に入れたり,描画などにおいて固執傾向をしめしていたが,治療関係が確立するにつれて改善をみせた。また,イナイナイバァー的な遊びを経て,ゲップやオナラを楽しむようになったりした。これらの経過をふまえ,視線があいにくい自閉的な児童の内的世界などについて考察した。
著者
生島 博之
出版者
愛知教育大学教育実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
no.9, pp.259-267, 2006-03

本論文は,最近5年間あまりにおける少年犯罪を教育臨床心理学の観点から研究したものである。神戸小学生殺傷事件から始まり,黒磯女教師殺害事件,豊川主婦刺殺事件,西鉄高速バス乗っ取り事件,岡山県金属バット殴打・母親殺人事件,等を取り上げ,これらの少年が,犯罪に至るまでにどのような家庭教育や学校教育を受けてきたのか,規範意識が育たなかった,あるいは,規範意識が弱過ぎたのは何故なのか等について考察した。その結果,学校が少年犯罪の『舞台』とならないようにするためには,『怨み』を聞く回路づくりができる教師の実践的指導力が不可欠であり,研修やスーパービジョン制度やスクールカウンセラー(臨床心理上)や関係機関との連携が重要であることが判明した。
著者
西川 絹恵 生島 博之
出版者
愛知教育大学実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.225-231, 2010-02

ギャップの典型例は,支え喪失(強力な支えがなくなった),自己発揮機会喪失(自分を発揮する機会が持てなくなった),脆弱性露呈(関係維持の潜在的な脆さが徐々にあらわれた),課題解決困難化(課題解決が徐々に困難となり不満や不安を募らせてきた),友人関係展開困難化(仲間関係を広げていくことができず徐々に孤立した)があるといわれている。しかし発達障害児(グレーゾーンの生徒も含む)の特徴と「中1ギャップ」の5つの典型例はよく似ている。発達障害児は小学校から中学校入学という環境の変化において,変化を好まない,適応が困難であることなどの障害特徴から,二次的障害としての不登校を誘発しやすい状況となっていることが多いと思われる。よって発達障害の子どもたちの多くにも中1ギャップが影響している可能性は非常に高いと思われる。発達障害と不登校の関連性については多くの研究が指摘するところであり,したがって発達障害児に対しては,さらにきめ細やかな中1ギャップに対する対応が必要であると考えられる。本研究では「特別支援教育」の観点から,そのギャップの解消につなげるためのスクールカウンセラー(以下 SC と表記)の小学校から中学校へつなげるための取り組みについて,広汎性発達障害児とのかかわりを通して「小学校から中学校への変換期を支える特別支援」について検討した。
著者
西川 絹恵 生島 博之
出版者
愛知教育大学実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
no.13, pp.225-231, 2010-02

ギャップの典型例は,支え喪失(強力な支えがなくなった),自己発揮機会喪失(自分を発揮する機会が持てなくなった),脆弱性露呈(関係維持の潜在的な脆さが徐々にあらわれた),課題解決困難化(課題解決が徐々に困難となり不満や不安を募らせてきた),友人関係展開困難化(仲間関係を広げていくことができず徐々に孤立した)があるといわれている。しかし発達障害児(グレーゾーンの生徒も含む)の特徴と「中1ギャップ」の5つの典型例はよく似ている。発達障害児は小学校から中学校入学という環境の変化において,変化を好まない,適応が困難であることなどの障害特徴から,二次的障害としての不登校を誘発しやすい状況となっていることが多いと思われる。よって発達障害の子どもたちの多くにも中1ギャップが影響している可能性は非常に高いと思われる。発達障害と不登校の関連性については多くの研究が指摘するところであり,したがって発達障害児に対しては,さらにきめ細やかな中1ギャップに対する対応が必要であると考えられる。本研究では「特別支援教育」の観点から,そのギャップの解消につなげるためのスクールカウンセラー(以下 SC と表記)の小学校から中学校へつなげるための取り組みについて,広汎性発達障害児とのかかわりを通して「小学校から中学校への変換期を支える特別支援」について検討した。
著者
生島 博之 岩田 郁子
出版者
愛知教育大学教育実践総合センター
雑誌
愛知教育大学教育実践総合センタ-紀要 (ISSN:13442597)
巻号頁・発行日
no.12, pp.37-51, 2009-02
被引用文献数
1

本論文は,最近10年間あまりにおける少年犯罪を特別支援教育の観点から研究したものである。豊川主婦殺害事件からスタートし,西鉄高速バス乗っ取り事件,長崎男児殺害事件,佐世保小6同級生殺害事件,寝屋川教師殺人事件,浅草レッサーパンダ殺人事件,等を取り上げ,これらの少年たちが,犯罪に至るまでにどのような学校教育を受けてきたのか,そして,規範意識が育たなかった,あるいは,規範意識が 弱過ぎたのは何故なのか等について考察した。その結果,学校が少年犯罪の『舞台』とならないようにするためには,『怨み』を聞く回路づくりができる教師の実践的指導力が不可欠であると同時に,特別支援教育の本格的な実施および性教育の効果的な実践が重要であることが判明した。