著者
藤井 聰 岸原 士郎 玉城 一 河本 正彦
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.97-106, 1986
被引用文献数
2

良質なサゴデンプンを製造する条件を探るため, 1981年にマレーシヤ, クアラルンプル市郊外で, 種々の条件下でサゴデンプンを実験室的に調製し, 調製品を日本に持ち帰って, その品質, とくにその色に関係する分析をした。その結果得られた良質サゴデンプンの製造条件と, 留意すべき事項について報告する。原料は新鮮で熟していなければならない, 未熟の原料や, 収穫後, 剥皮及び磨砕後長時間放置したものからは, 劣悪なものしか得られなかった。デンプン製造には鉄製器具はできるだけ避けるべきである。さもなければピスの切断面はインク色に染まり, その色はデンプンに取り込まれてしまう。ピスを短時間貯蔵せねばならぬときは, 空気から切断面を遮断する適当な方法を講ずるべきである。例えば適当な表面コーティング剤を噴霧するとか, 水に浸漬するとかの方法である。良質の水を使用することが高白度のデンプンを得るために必須である。若し良い水が得られないなら, たとえば, 塩(海)水を用いるとか, Tween 60のような界面活性剤を添加した用水を用いるのが薦められる方法である。不純物は製造時にデンプンに吸着されるので, 一度劣悪なデンプンが製造されると, その品質の改良は普通の方法では大変むつかしい。

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