著者
坂本 薫 三浦 加代子 橘 ゆかり 小泉 弥栄 作田 はるみ 岸原 士郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.16, pp.56, 2004

【目的】砂糖は、調理上大変身近で重要な役割を果たしている食材である。砂糖には、上白糖、グラニュ糖、白双糖、三温糖、黒砂糖、その他いろいろな種類があるが、砂糖は甘味料として使われるだけでなく、その特性を生かした菓子や料理が数多くある。特に砂糖の加熱特性を利用した調理には、フォンダンや砂糖衣、抜絲、カラメルなど興味深いものが多く、温度によって性状が段階的に変化する。カラメルソースは、砂糖溶液を着色するまで加熱して作るソースで、着色や着香、味つけに用いられ、その煮詰め温度は、一般的に160℃–180℃とされていることが多い。しかし実際には、180℃まででは十分な着色が見られないこともある。今回は、カスタードプディングに適したカラメルソースの調製温度について検討するため、2社のグラニュ糖を用いてカラメルソースを調製した。<br>【方法】試料は、市販の2社のグラニュ糖を用い、28メッシュ以下の粒度のものを実験に供した。温度測定には水銀温度計と熱伝対を用い、標準温度計により温度補正を行った。また、pHおよび吸光度を測定し、有機酸の生成状況や着色状況を観察した。<br>【結果】加熱は、通常の調理操作に近い条件となるように熱源や昇温時間を検討し、実験を行った。その結果、一般的にカラメルの調製温度として示されている温度では十分な着色が認められない製品があることがわかった。また、カラメルソースを調製する過程での差異を明らかにするため、昇温過程の一定温度で加熱を止めてpHおよび色調等を比較したところ、明らかに差異が認められ、純度の非常に高いグラニュ糖であっても、製品により調理の上で大きな差があらわれることが明らかとなった。
著者
坂本 薫 森井 沙衣子 井崎 栞奈 小川 麻衣 白杉(片岡) 直子 鈴木 道隆 岸原 士郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.143, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】日本の市販グラニュ糖やザラメ糖のスクロース純度は,99.9%以上と大変高くスクロース結晶とみなすことができるため,製品間で品質に差はないと考えられてきた。しかし,グラニュ糖の融点にはメーカーによって異なるものがあり,融点の異なるグラニュ糖は加熱熔融状況が異なり,示差走査熱量分析(DSC 分析)において異なる波形を示すこと,さらに,スクロース結晶を粉砕することにより,その加熱特性が変化することをすでに明らかにした。焼き菓子の中には,マカロンや焼きメレンゲなど粉砂糖の使用が通常とされるものがある。そこで,グラニュ糖と粉砂糖を使用して焼きメレンゲを調製し,焼き菓子における砂糖の粒度の違いによる影響を検討した。【方法】3社のグラニュ糖(W,X,Z)およびそれぞれを粉砕した粉砂糖(Wp,Xp,Zp)を用いた。砂糖のみについて,焼きメレンゲと同条件で加熱し,色差測定,HPLC分析を行った。また,焼きメレンゲを調製し,外観観察および重量減少率測定,密度測定,色差測定,破断強度測定を行った。【結果】砂糖のみの加熱では,グラニュ糖のほうが色づきやすく,粉砂糖のほうが着色の度合いは小さかった。また,加熱により,W,Xでは顕著に還元糖が生成していた。砂糖のみと焼メレンゲでは,加熱後の色づき方の逆転現象が認められ,粉砂糖メレンゲのほうが色が濃い結果となった。外観では,粉砂糖メレンゲでは表面はなめらかであったが表面が硬い傾向が認められ,表面に亀裂や気泡が見られた。グラニュ糖メレンゲは,色が白くきめが粗かった。本研究により,砂糖の粒度の違いにより,焼き上がりの外観,色調やきめ,テクスチャーが大きく左右されることが明らかとなった。
著者
藤井 聰 岸原 士郎 玉城 一 河本 正彦
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学農学部研究報告 (ISSN:04522370)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.97-106, 1986
被引用文献数
2

良質なサゴデンプンを製造する条件を探るため, 1981年にマレーシヤ, クアラルンプル市郊外で, 種々の条件下でサゴデンプンを実験室的に調製し, 調製品を日本に持ち帰って, その品質, とくにその色に関係する分析をした。その結果得られた良質サゴデンプンの製造条件と, 留意すべき事項について報告する。原料は新鮮で熟していなければならない, 未熟の原料や, 収穫後, 剥皮及び磨砕後長時間放置したものからは, 劣悪なものしか得られなかった。デンプン製造には鉄製器具はできるだけ避けるべきである。さもなければピスの切断面はインク色に染まり, その色はデンプンに取り込まれてしまう。ピスを短時間貯蔵せねばならぬときは, 空気から切断面を遮断する適当な方法を講ずるべきである。例えば適当な表面コーティング剤を噴霧するとか, 水に浸漬するとかの方法である。良質の水を使用することが高白度のデンプンを得るために必須である。若し良い水が得られないなら, たとえば, 塩(海)水を用いるとか, Tween 60のような界面活性剤を添加した用水を用いるのが薦められる方法である。不純物は製造時にデンプンに吸着されるので, 一度劣悪なデンプンが製造されると, その品質の改良は普通の方法では大変むつかしい。
著者
岸原 士郎 藤井 聰 河本 正彦
出版者
日本膜学会
雑誌
(ISSN:03851036)
巻号頁・発行日
vol.8, no.6, pp.371-374, 1983

Commercial refined cane sugars still contain high-molecular-impurities such as acidified-ethanol-insoluble substances and turbid substances. These impurities were able to be satisfactorily eliminated by ultrafiltration and sufficiently by reverse osmosis. Ultrafiltration might be used for the production of specially pure sucrose free from these impurities. A small amount of these high-molecular-impurities reduced the flux in ultrafiltration of the sugar solution. From the degree of decline in flux, the level of these impurities in different sugars may be roughly judged.
著者
坂本 薫 森井 沙衣子 井崎 栞奈 小川 麻衣 白杉(片岡) 直子 鈴木 道隆 岸原 士郎
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

【目的】日本の市販グラニュ糖やザラメ糖のスクロース純度は,99.9%以上と大変高くスクロース結晶とみなすことができるため,製品間で品質に差はないと考えられてきた。しかし,グラニュ糖の融点にはメーカーによって異なるものがあり,融点の異なるグラニュ糖は加熱熔融状況が異なり,示差走査熱量分析(DSC 分析)において異なる波形を示すこと,さらに,スクロース結晶を粉砕することにより,その加熱特性が変化することをすでに明らかにした。焼き菓子の中には,マカロンや焼きメレンゲなど粉砂糖の使用が通常とされるものがある。そこで,グラニュ糖と粉砂糖を使用して焼きメレンゲを調製し,焼き菓子における砂糖の粒度の違いによる影響を検討した。<br><br>【方法】3社のグラニュ糖(W,X,Z)およびそれぞれを粉砕した粉砂糖(Wp,Xp,Zp)を用いた。砂糖のみについて,焼きメレンゲと同条件で加熱し,色差測定,HPLC分析を行った。また,焼きメレンゲを調製し,外観観察および重量減少率測定,密度測定,色差測定,破断強度測定を行った。<br><br>【結果】砂糖のみの加熱では,グラニュ糖のほうが色づきやすく,粉砂糖のほうが着色の度合いは小さかった。また,加熱により,W,Xでは顕著に還元糖が生成していた。砂糖のみと焼メレンゲでは,加熱後の色づき方の逆転現象が認められ,粉砂糖メレンゲのほうが色が濃い結果となった。外観では,粉砂糖メレンゲでは表面はなめらかであったが表面が硬い傾向が認められ,表面に亀裂や気泡が見られた。グラニュ糖メレンゲは,色が白くきめが粗かった。本研究により,砂糖の粒度の違いにより,焼き上がりの外観,色調やきめ,テクスチャーが大きく左右されることが明らかとなった。