著者
高橋 和夫
出版者
放送大学
雑誌
放送大学研究年報 (ISSN:09114505)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.23-33, 1997

ペルシア湾情勢の将来を語ることは,専門家のする事ではない.この地域は,予言者の墓場である.いわく,イランの王制は安泰である.いわく,イランの革命政権は短命である.いわく,イラン・イラク戦争がイラクの短期間での圧勝に終わる.などなどである. しかし,その将来を敢えて展望して見ると,不安定な要素が多い.四つの変化の流れが合流してアラビア半島諸国を洗うだろう.それは,人口爆発,石油収入の低下,アメリカ軍の存在が引き起こす民族・宗教感情高まり,そして指導者の世代交代である.またイラクではサッダーム・フセインの独裁が続いている.しかし,この長期不安定政権にもいつかは変化が訪れるであろう. こうして見ると,ペルシア湾岸諸国で一番安定感があるのはイランである.そのイランでは緩慢ながらも革命熱の低下するプロセスが進行してる.革命体制の「進化」が起こりつつある.この進化に注目して,イランとの批判的な対話を進める日本やEUと,イラクとイランの同時封じ込め,いわゆる「二重封じ込め」政策を掲げるアメリカとの間に齟齬が生じている.イランの国内情勢の変化に対応した「進化」が,アメリカのイラン政策にも求められている.

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こんな論文どうですか? 『ペルシア湾岸情勢と日米関係』(高橋 和夫),1997 https://t.co/hld6EBwiwT  ペルシア湾情勢の将来を語ることは,専門家のする事ではない.この地域は,予言者…

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