著者
三冨 正隆
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.66, no.8, pp.439-459, 1993
被引用文献数
8

台湾の蘭嶼に居住するヤミ族は,天上神を中心とした世界観と空間認識の体系を発達させており,人の霊魂は天界から蘭嶼に来りて誕生し,死ぬと死霊となり彼方の死霊の島に去ってここに永久に留まるという不可逆的な時間・空間の観念が卓越していて,他のオーストロネシア諸文化とは逆に外洋方向を良い方向,山岳方向を悪い方向として象徴化している.<br> しかし蘭嶼がバタン諸島と渡洋交易を営んでいたはるか過去の時代には,祖霊を中心とした体系が発達しており,霊魂は山岳方向から来りて誕生し,死とともに外洋方向より死霊の島に去り,いつかまた再生するという循環的な時間・空間の観念が卓越していて,山岳方向が良い方向,外洋方向が悪い方向となっていた.この変容は,バタン諸島がスペイン人に征服されて蘭嶼が孤立した小世界となり,父系的血縁集団が衰退し,個人主義と威信競争が卓越するようになった社会秩序の変化と大きくかかわっている.

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CiNii 論文 -  台湾蘭嶼ヤミ (Yami) 族における空間認識と世界観の変容 https://t.co/icMIVa4j8K
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CiNii 論文 -  台湾蘭嶼ヤミ (Yami) 族における空間認識と世界観の変容 https://t.co/1FbZqpAhe6 #CiNii←大日本帝国の最南端だったのが紅頭嶼(現・蘭嶼)で八重山の約400km南、4千人未満の海洋アボリジニが居住。理想郷パイテローマのモデル
こんな論文どうですか? 台湾蘭嶼ヤミ (Yami) 族における空間認識と世界観の変容(三冨 正隆),1993 https://t.co/pK3I8q3jkM

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