- 著者
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武田 一郎
- 出版者
- 学術雑誌目次速報データベース由来
- 雑誌
- 地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
- 巻号頁・発行日
- vol.70, no.8, pp.512-525, 1997-08
- 参考文献数
- 44
- 被引用文献数
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4
茨城県勝田市那珂海岸における2年間(1980年8月28日~1982年8月30日)の地形測量と波のデータを用い,後浜上限の位置と高度に関する検討を行った.バーが波に対してフィルターの役目を果たすため,また,汀線直前の水深を規定するステップ基部水深に限度があるたあに,汀線砕波の最大波高には限度がある.その結果,沖合い段階での暴浪の規模が異なっても,波の遡上限界地点に大きな差が生ずることはない.したがって,その地点に一致する後浜上限の位置はかなり安定したものとなる.<br> この後浜上限の高度は海浜堆積物の粒径が粗くなるほど大きくなる.これは,沖合いの暴浪特性が同じであっても,海浜堆積物の粒径が粗ければ汀線砕波波高が大きくなり,その結果,波の遡上限界高度が大きくなるためである.その理由は,海浜堆積物の粒径が粗いほど波に対してフィルターの効果を有するバーが発達しにくくなり,また,最大の汀線砕波波高を規定するステップ基部水深が大きくなるためである.