著者
藤目 節夫
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
地理学評論. Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.227-241, 1999-04-01
参考文献数
16
被引用文献数
5

本研究では,交通の地域インパクト研究において,時間空間と費用空間の変化を同時に考察する必要があるとの基本的認識のもとに,多次元尺度構成法を用いて交通変革に伴う中四国地域の両空間の変化を把握した.その結果,中四国地域の時間空間はこの四半世紀に約40%の大幅な縮小を示したが,費用空間はこの間にわずか数%未満の縮小であったことが明らかとなった.この両空間の縮小は,高速交通体系の整備に伴う高速の移動性が,余分な支払い費用を伴わずに達成されたことを意味しており,この四半世紀に中四国地域の交通条件がかなり向上したことが明らかとなった.またINDSCALにより両空間の共通空間の復元を試みたところ,満足のいく結果が得られ,時間・費用空間の変化は共通空間の二つの次元を伸縮することにより表現可能であることが明らかとなった.さらに以上の結果から,ある交通変革が地域の時間・費用空間に及ぼす影響には多大な差異があり,交通変革に伴う交通条件変化の把握には両空間を同時に取り扱う必要性が示唆された.

言及状況

Twitter (1 users, 1 posts, 0 favorites)

いま紹介されてる論文 https://t.co/dxZ0jICyTO

収集済み URL リスト