- 著者
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竹内 将俊
田村 正人
- 出版者
- 日本応用動物昆虫学会
- 雑誌
- 日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
- 巻号頁・発行日
- vol.38, no.2, pp.79-84, 1994-05-25
- 被引用文献数
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5
4
1) 東京都世田谷区の東京農業大学キャンパスと神奈川県秦野市のミカン畑跡地でトホシテントウの餌植物および各発育ステージの発生消長を調査するとともに,寄主植物ごとの室内飼育より幼虫期の発育期間を求めた。<br>2) 寄主植物として世田谷ではキカラスウリなどが,秦野ではアマチャヅル,カラスウリなどが確認され,加害植物としてカボチャ,キュウリが確認された。また世田谷個体群では,羽化時期の餌不足から一部の新成虫がエノキワタアブラムシの分泌蜜およびエノキの葉を摂食した。<br>3) 各発育段階の発生消長を調査地間で比較したところ,産卵ピークから4齢幼虫ピークまでの期間が異なり,産卵時期に対する4齢幼虫の出現は世田谷で早く,秦野で遅れる傾向にあった。また世田谷の幼虫の一部は年内に羽化し,成虫で越冬した。<br>4) 室内飼育では,キカラスウリを与えた幼虫はカラスウリやアマチャヅルを与えた場合より速く成長する。このことから個体群の依存する寄主植物による発育速度の違いが両個体群の生活史の相違をもたらす主な要因と考えられる。