- 著者
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春日 敦子
藤原 しのぶ
菅原 龍幸
青柳 康夫
- 出版者
- 日本調理科学会
- 雑誌
- 日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
- 巻号頁・発行日
- vol.29, no.3, pp.201-206, 1996-08-20
- 参考文献数
- 30
- 被引用文献数
-
1
椎茸の旨味成分の一つである5'-ヌクレオチドは一連の酸素反応により、RNAから生成され、無味のヌクレオシドに分解される。この過程に於いて、昇温速度の違いが5'-ヌクレオチドの生成に影響を及ぼすことは既に報告されている。そこで、実際に家庭で調理を行う場合を想定し、熱付加の様相や組織の損傷方法を変えた時の、5'-ヌクレオチドの蓄積量について検討した。熱付加方法の違いでは、昇温が短時間である沸騰した湯で加熱や500Wのような高出力電子レンジ加熱の場合。5'-ヌクレオチド増加量は少なく、出力の小さい100Wレンジ加熱や水から加熱した場合は多く蓄積された。また、組織に損傷を与えると、自己消化能は高まり5'-ヌクレオチドは増加するが、包丁の柄で叩くより組織の損傷の度合が大きいと考えられる。一晩冷凍し組織を損傷させてから加熱した方が5'-ヌクレオチドは多く蓄積された。また、冷凍後の解凍操作として、冷蔵庫内自然解凍、電子レンジ解凍、解凍なしの3通りについて水から加熱し、5'-ヌクレオチド含量を比較検討したところ、冷蔵庫内自然解凍は蓄積が少なく、解凍なし、電子レンジ解凍の順に増加した。また、試料を-40℃ブリーザーに保存し、経時的に冷蔵庫内自然解凍、電子レンジ解凍し、それぞれ水から加熱したときと加熱操作を行なわない場合のRNAと5'-ヌクレオチドを測定した。冷蔵庫内冷凍又は電子レンジ解凍し加熱した場合、5'-RNA、5'-UMP、5'-CMPは30日以降若干減少している傾向にあったが、5'-GMP、RNAはいずれの場合もほとんど変化が認められなかった。