著者
石川 真 中村 健二郎
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.225-232, 1979-09

Nは任意のプレィヤーの集合、Ωは任意の選択対象の集合、各プレィヤーiはΩ上の選択対象に好ましさの順位(序数的選好順序)P^iをもつと仮定し、かかるP^i全体をDとがき、NからDへの関数をP^Nとかく。なお、本論文では選出公理を仮定する。いま、Nの部分集合(提携)からなる族Wを与え、Wに一属す提携を勝利提携という。勝利提携はΩの任意の選択対象を決定するパワーをもち、それゆえこのゲームは一般化された多数決ゲームとみなされる。かかるゲームを(序数的選好順序を前提とする)単純ゲームとよび、コア等の解の概念が定義される。中村は、この単純ゲームにおいて、PNがあらゆるパターンをとる時、コアが存在する必要条件は拒否権をもつプレィヤー存在するか、または、このゲームに固有に定まる濃度がΩの濃度より大きいことを証明した。なお、Ωが有限の時、この条件は十分でもある。この定理により、社会選択論における一般可能性定理および種々の拡張等が統一的に尊びかれる。本論文では。上記定理の証明が実質的には単純ゲームだけでなく、一般の特性関数ゲームについても同様の結果を尊びくことが明らかにされる。すなわち、vを提携Sに対し、Ωの部分集合を対応させる特性関数とし、特性関数ゲームG=(N、Ω、v)を考える。選択対象xがv(S)に属す時、提携Sはxに対して有効といい、かかるS全体をE(x)とかく。いま、各xに対して、E(x)の中から任意に提携S(x)を選び、これらS(x)の共通部分がつねに空でない時、この性質を仮に完全交叉性とよぶ。この論文の主要定理は特性関数ゲームGが、PNがあらゆるバターンをとる時、コアをもつならば、Gは完全交叉性をみたすということで、Ωが有限ならば逆も成り立つということを述べている。この性質を単純ゲームにおいて述べれば、既に上述した結果が得られる。また、Nを有限とし、単調・対称ゲームについて述べればPolishchukの結果が得られる。

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編集者: Bcxfubot
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