著者
坂口 泰人 千葉 直久 齊藤 正男 石川 真也 中川 達雄
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.464-468, 2018-05-15 (Released:2018-05-15)
参考文献数
12
被引用文献数
1

肺結節陰影を呈した肺スエヒロタケ(Schizophyllum commune)症の1切除例を経験したので報告する.症例は58歳,女性.職場健診にて右肺の異常陰影を指摘され,前医に紹介となり,CT検査で右肺上葉に空洞を伴う結節影を認め,精査加療目的で当科に紹介となった.PET検査では同結節に軽度の集積を認め,診断および治療を兼ねて胸腔鏡下手術を行った.術中迅速診断では悪性所見を認めず,肺部分切除を施行した.術後の気漏が遷延したこと,および,その後の検査で肺アスペルギルス症が疑われため,再手術にて右肺上葉S1+S2区域切除を行った.術後の培養検査からアスペルギルスとは同定されず,遺伝子検査の結果,肺スエヒロタケ症の診断に至った.術後経過は良好で術後5年の現在,肺スエヒロタケ症の再燃はみられない.
著者
山口 二郎 酒井 哲哉 村上 信一郎 新川 敏光 中北 浩爾 米原 謙 石川 真澄
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1990年代後半には、英、独、仏の三カ国で社会民主主義政党の再生が起こり、イタリアでは政党再編成の中で中道左派連合が政権を獲得した。日本でも同じように政治改革を契機とする政党再編成の動きがあったにもかかわらず、社会民主主義政党の衰弱、事実上の退場という対照的な現象が起こった。その原因は次の諸点に求められる。第1に、日本社会党が1950年代後半に政権政党としての政策構想を放棄して以来、野党化の論理の中に埋没した。護憲平和主義が野党としての存在を正当化する最大の根拠となった。第2に、自民党政権時代に整備された地方重視の公共投資や弱小産業保護のための規制政策が、社会的平準化とセーフティネットの役割を代替し、本来の社会民主主義の出番がなくなった。この点はイタリアとよく似た状況であったが、イタリアの場合左翼政党の連合がEU加盟という国家目標に沿って自由主義的な改革を取り入れ、政権担当能力を示したのに対して、日本の場合社会党が規制緩和や官僚制改革について政策を示せなかったことで、90年代の政治において周辺的な地位に追いやられた。第3に、労働組合という旧来の支持基盤の衰弱、市民の台頭という有権者意識の変化に対応できなかった。これらの要因によって1990年代の日本で社会民主主義政党が衰滅していったが、新自由主義的な構造改革によって旧来の擬似セーフティネットが壊されたのちには、再び新たな社会民主主義的政策を軸にした政治勢力の結集が可能となる可能性もある。
著者
塩谷 昌行 石川 真也
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.653-656, 2021 (Released:2021-09-02)
参考文献数
7
被引用文献数
1

In this study, we have developed a prototype of a status indicator (light) suitable for ``Foodly,'' which is a collaborative robot that works alongside people in the process of serving lunches in a food factory. In order for the robot to work with people, it must have a non-fearful, non-intimidating appearance and a display that can provide safety and operational information appropriately. We built several prototypes and compared their appearance. We determined if the information provided could be properly understood. We classified the safety information into four categories, which can be easily recognized by users from safety and operational perspectives.
著者
石川 真澄 横田 一
出版者
金曜日
雑誌
金曜日
巻号頁・発行日
vol.4, no.41, pp.10-15, 1996-11-01
著者
石川 真也 船越 孝太郎 篠田 浩一 中野 幹生
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第27回全国大会(2013)
巻号頁・発行日
pp.1K3OS17a5, 2013 (Released:2018-07-30)

複数人のユーザと同時に対話できるマルチモーダル対話システムの構築を目指して,3人1組のグループが1体の小型ロボットと簡単なゲームを行う対話データを収集した.本発表では収集したデータの概要と,いくつかの側面からの分析結果を報告する.対話データの収集はWizard-of-Oz形式で行い,3人の参加者は監督者からの簡単な指示を受けて対話の場に出入りを繰り返し,ロボットとゲームを行った.
著者
石川 真一 高橋 和雄 吉井 弘昭
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.11-24, 2003
参考文献数
33
被引用文献数
8

群馬県内利根川中流域における外来植物オオブタクサ(Ambrosia trifida)の分布状況を調査した結果,県南端に位置する明和町から,県北端の水上町(源流から約30km下流)の範囲において,大きな個体群が30地点で確認され,このうち最大のものは約687万個体からなり,年間約17億の種子を生産していると推定された.またこの30地点はすべて工事現場や採石場周辺などの,人為的撹乱地であった.温度-発芽反応実験の結果,オオブタクサは寒冷地に分布すると,より低温で発芽し,高温では休眠するようになる可能性が示唆された.水上町の個体群と群馬県南部の伊勢崎市の個体群において残存率調査と生長解析を行った結果,オオブタクサは北の低温環境下においても南部と同等かそれ以上の相対生長速度を有していたが,エマージェンス時期が遅くて生育期間が短いため,個体乾燥重量は小さくなった.しかし水上町では,伊勢崎市に比べて個体乾燥重量あたりの種子生産数と残存率および個体群密度が高いため,単位面積あたりでは伊勢崎市より多くの種子を生産していた.これらの結果から,オオブタクサが今後も低温環境下において勢力を拡大する危険性があるとことが示唆され,拡大防止の一方策として,河川周辺における人為的撹乱の低減と,種子を含む土壌が工事車両によって移動することを防止する必要性が提言された.
著者
石川 真紀子 清水 順也 金谷 誠久 白神 浩史 久保 俊英 中原 康雄 後藤 隆文
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.224-229, 2011-11-15 (Released:2012-10-25)
参考文献数
15

シスチン尿症は腎尿細管,小腸上皮におけるシスチンと二塩基性アミノ酸の吸収障害を本態とする疾患であり,尿路結石の頻回再発やそれに伴う腎不全への進展が問題となる。症例は,結石分析,尿中アミノ酸分析にてシスチン尿症と診断し,重曹による尿アルカリ化治療を行っていた2歳男児である。定期受診時に,顕微鏡的血尿と,超音波および腹部CTにて左水腎水尿管と左膀胱尿管移行部に巨大結石を認めた。体外衝撃波結石破砕術は適応外と判断し,開腹にて尿路結石除去術を施行し,術後は十分な尿量確保と尿アルカリ化の継続,シスチン易溶化薬剤の内服を開始した。シスチン尿症の管理においては尿路結石の再発予防が最も重要となるが,乳幼児期での十分な尿量確保や蛋白制限は困難なことが多い。本症例を通してシスチン尿症の適切な管理法について考察し報告する。
著者
石川 真暉 新家 隆佑 鈴木 学
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】</p><p></p><p>理学療法士養成校には,教育課程の中に臨床実習(以下実習)が設定されている。これは学生が理学療法士になるためには重要な科目であるが,学生は実習に対して多かれ少なかれ不安を持っていて,それには学生の知識や技術レベル,性格など様々な要因が関係していることが考えられる。実習に対する学生の不安に関する先行研究で,杉戸らは,実習中では,自由な子の方が睡眠時間が長く,ストレスが低い,と報告しているが,個人の性格が実習に対して実習前の不安及び実習中のストレスとの関連しているという報告は極めて少ない。本研究では,個人の性格による実習への不安および実習中のストレスとの関連を明確にし,円滑な臨床実習の一助にすることを目的とした。</p><p></p><p>【方法】対象はA大学の理学療法学科3年の学生69名とした。方法は実習前に性格診断と実習不安に関するアンケート,実習後に実習中のストレス検査を実施した。性格診断の調査は淡路・岡部式向性検査表を用いて,50項目の二者択一で性格を外向性,内向性に分類した。また実習への不安調査は,21項目からなる5段階評価(1=不安~5=安心)で,ストレス検査は,SRS-18(Stress Response Scale=心理的ストレス反応尺度)を用いた。これは18項目の質問からなり,実習中の心理状態を想起し,4段階評価(0=全く違う~3=その通りだ)とし,3タイプのストレス(抑うつ・不安,不機嫌・怒り,無気力)を算出し合計得点を総合的ストレス得点とした。統計処理は性格による不安およびストレスとの差異をマンホイットニーのU検定で検討した。また性格毎に不安とストレスとの関係をスピアマンの順位相関分析にて検討した。統計ソフトはSPSSstatistics23を使用し,有意確率は5%未満とした。</p><p></p><p>【結果】</p><p></p><p>アンケート回答者は69名(男性37名,女性32名)であった。内向性と外向性による不安に関しては,有意差はないが,ストレスでは外向性の方が有意に高かった(p<0.05)。外向性の性格では不安はストレスとの間には「総合的ストレス」(ρ=0.995)であった。内向性の性格でも不安とストレスとの間には「総合的ストレス」(ρ=0.979)であった。不安は3タイプのストレス反応および総合的ストレスとの間には有意な強い正の相関が見られた。</p><p></p><p>【結論】</p><p></p><p>性格による不安の程度に差はないが,ストレスは外向性の性格の方が高かった。不安とストレスの関連では,不安の程度とストレスの程度は反比例することが示唆された。不安が強いことで,実習に対する学習意識が強くなり,実習中のストレスが低くなると考える。また,不安が低いことで実習に対する準備不足になる可能性があり,実習の遂行に支障をきたしストレスの増強に繋がると考えられる。今後不安が少ない学生に対しても,適度な緊張感を与えることが必要であると考える。</p>
著者
石川 真澄
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.5, no.5, pp.595-603, 1990-09-01
被引用文献数
104

Learning in connectionist models has two aspects : the first aspect being the reproduction of the mapping from input to output patterns, and the second being the discovery of regularity in these training patterns. The backpropagation learning algorithm stresses the former aspect, as can be seen from its criterion function of the sum of squared output errors. The present paper, on the other hand, lays emphasis on the latter aspect. In the backpropagation learning of feedforward type models it is of nesessity to determine, beforehand, the number of layers and the number of hidden units in each layer. Since this prior determination is, in general, difficult, a trial and error procedure is inevitable, which is quite time consuming. To overcome this difficulty and to generate a small sized network, the present paper proposes a learning algorithm with forgetting of link weights. This forgetting is realized by adding the sum of absolute values of link weights to the criterion in the backpropagation algorithm. This algorithm generates a skeletal structure, in which the numbers of links and units used are kept as small as possible. As by-products of this algorithm it has various advantages : ease of interpretation of hidden units and improved generalization power of the resulting models. This algorithm alone causes the following two difficulties : emergence of distributed representation on hidden layers, which makes the interpretation of hidden units difficult, and a poor criterion value after learning due to the added term in the criterion function. To resolve these difficulties a structural learning algorithm is proposed, which consists of a series of algorithms : the learning algorithm with forgetting, a hidden units clarification algorithm, and a learning algorithm with selective forgetting. This structural learning algorithm is applied to a problem of discovering a logical function from a given set of pairs of input and output logical values. It is well demonstrated that the resulting skeletal network represents logical structure of the given problem. On the contrary the backpropagation algorithm generates a network far from being skeletal, making the interpretation of hidden units quite difficult. This algorithm is applied to another problem of classifying iris data by Fischer.Generalization power of the structural learning algorithm and that of the backpropagation algorithm are compared. The result of the comparison clearly demonstrates that the former has greater generalization power than the latter.
著者
齋藤 美穂 野嶋 栄一郎 松居 辰則 石川 真 野嶋 栄一郎 松居 辰則 石川 真
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、小学校の一斉授業場面において、教師と生徒のノンバーバルなコミュニケーションの手段であり、また教師のソーシャル・プレゼンスの一要因でもある表情を分析することにより、表情が学級風土に与える影響を検討した。教師の特徴的な表情や表出程度、印象などを多角的に検討した結果、表出される表情や程度は教師によって様々であったが、教師の表出する表情は、教師自身の印象や児童との一体感、学級風土に影響を与えることが明らかとなった。
著者
竹鼻 一也 安達 希 石川 真悟 山岸 則夫
出版者
Japanese Society of Zoo and Wildlife Medicine
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.115-120, 2023-09-01 (Released:2023-11-01)
参考文献数
24

アジアゾウの子ゾウ2頭の離乳前後4ヵ月における骨芽細胞マーカー[骨型アルカリホスファターゼ(ALP3)]および破骨細胞マーカー[酒石酸耐性酸ホスファターゼ5b(TRAP5b)]の活性値を測定した.両測定値は離乳後に有意に減少したことから,骨芽細胞による骨形成と破骨細胞による骨吸収の低下が示唆された。以上より,アジアゾウの母乳は成長期の骨代謝に重要な役割を持つことが推察された。
著者
藏前 哲郎 石川 真悟 林 淳 津曲 圭太 乙丸 孝之介 帆保 誠二
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.31-36, 2020-01-20 (Released:2020-02-20)
参考文献数
15

本研究では,臨床的に重症慢性肺炎と診断された黒毛和種牛50頭から鼻咽頭スワブ(Swab)及び気管支肺胞洗浄液(BALF)を採取し,細菌分離とともに,その薬剤感受性を調査した.Swab及びBALFからはおもにMycoplasma bovis 及びPasteurella multocida が分離されたが,同一牛において両検体から同一細菌種が分離された割合は比較的低かった.また,BALFから分離されたM. bovis 及びP. multocida は,おもにフルオロキノロン系抗菌薬に感受性であったが,Swabから分離された同2菌種の同系抗菌薬に対する薬剤感受性は低かった.以上より,重症慢性肺炎罹患牛の鼻咽頭領域及び気管支肺胞領域からは,おもにM. bovis 及びP. multocida が分離されるが,同一供試牛から分離された同一菌種の細菌であっても,薬剤感受性が異なる可能性があることから,重症慢性肺炎罹患牛においてSwabによる肺炎原因菌の推定には慎重を要すると思われた.
著者
石川 真子 錦戸 典子
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.1-15, 2014 (Released:2014-02-28)
参考文献数
24
被引用文献数
5 1

目的:新人期の産業看護職によるメンタルヘルス対策に関する活動の実施状況と困難を感じた経験,知識・技術の保有感の特徴と今後の学習課題を明らかにして,今後の新人期の産業看護職に対する,メンタルヘルスに関する教育研修方策を検討するための示唆を得ることを目的とした.方法:日本産業衛生学会に所属する産業看護職を対象に自記式質問紙調査を行った.今回は,回答者のうち,企業所属で担当事業場がある産業看護職を主な分析対象とした.メンタルヘルス活動36項目の困難に関してクラスター分析を行い,カテゴリーに分類した.経験年数5年以下(以下,新人期とする)と5年より上(以下,中堅期以降とする)の2群に分け,それぞれの基本情報,メンタルヘルス活動の実施状況,困難,知識・技術の保有感,学習環境,自己研鑽等を算出し,新人期と中堅期以降の産業看護職との比較を行った.また,変数間の関連を検討するため,Mann-WhitneyのU検定およびχ2検定を行った.結果・考察:有効回答数は682名であり,そのうち,企業所属で担当事業場がある,新人期の産業看護職80名,中堅期以降の産業看護職369名を分析対象とした.1) 新人期・中堅期以降ともに,大多数の産業看護職がメンタルヘルス活動に携わっていた.中堅期以降の産業看護職と比較して,より多くの新人期の産業看護職が,[メンタルヘルスに関する個別相談のアセスメントと対応]に困難を抱えていた.また,メンタルヘルス活動に関する知識や技術について,中堅期以降の産業看護職と比較すると,ほぼ全ての活動項目で不足を感じている新人期の産業看護職が多かった.2) 新人期の産業看護職は,[労働者・管理監督者等との信頼関係の構築と情報収集],[メンタルヘルスに関する個別相談のアセスメントと対応]を,他の活動と比べて実施している割合が高かったが,そのための知識・技術を有している割合は他の活動と差がほとんどなく,結果としてそれらの活動に関する知識・技術不足を感じながら実施している人が多い状況が示唆された.今後,新人期の産業看護職への育成研修として,まず,これらのメンタルヘルスケアの基礎となる活動に関する知識・技術を確認・育成する教育から行っていく必要があると考えられた.3) 他企業の産業看護職から助言・サポートを得られる等の学習環境を有しており,また,関連雑誌を購読している産業看護職の方が,[復職支援と事業場内・外の関係者との連携]に関して,過去一年間に困難を感じた経験が有意に少なかった.また,研究実施や学会発表等の自己研鑽をしている産業看護職の方が,[対応が困難なケースへの個別相談対応]に困難を感じた経験が少ないことが示された.