- 著者
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久我 清
永谷 裕昭
- 出版者
- 公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
- 雑誌
- Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.4, pp.275-305, 1984-12
銀行・証券・郵貯をとりまく競争の激化と企業・家計側の金利選好意識の強まりは我国の金融環境を激変させずにはおかない。アメリカの金融革命においても高利回りの清算総合口座のMMFなどが焦点となったように、我国の金融新機軸の切り札は「総合口座」である。現在、総合口座は銀行・郵貯・農協・労金など凡ゆる金融機関で取扱われており、公共料金その他を清算する普通預金口座と定期預金を担保とする自動貸越契約を連動させるシステムとなっている。金融機関側は家計のメイン・バンク化というテーマから「総合口座」をセールス活動の橋頭窒としているが、翻って、家計側からすれば、このシステムをどのように利用するのが最適であるか。本論文ではこの問題が、銀行については通常の凹計画として郵貯については非凹な折れ線計画として、解き得ることを示し、その最適運用法と日常利用可能な簡易ルールを確立した。結論:普通預金残高の計画期間にわたる流れを正確に予想せずとも、計画期問の凡そ95%の日数が赤字残高になるように定期預金残高を設定するのが最適である。より簡便な方法は、毎月給与振込の3日後ぐらいでの残高がゼロとなればよい。この方法を月収30万円の家計が採用すれば、年凡そ6、000円程度の追加的利息を得る。仮に、全家計が最適運用を始めた場合、金融機関側の追加的総負担額は約6、000億円に昇る。