著者
田口 東
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.398-408, 1995-12
被引用文献数
9

都市の交通渋滞の問題を考える指針を得るために次のような問題を考える。すなわち、渋滞のない理想的な条件の下で発生する可能性のある交通需要を円滑に通過させるためには、都市の面積のどの位の割合を交通に配分すればよいのであろうか。そのために、前提とする現実をできるだけ単純化してモデルを導く。対象は都市内の人が互いに行き来するという交通である。任意の対が行き来する確率は都市全体で一定であり、ひとりあたりの交通量は都市の人口に依存して増加すると仮定する。このモデルから、都市が大きくなるにつれて道路の割合が大きくなり、とくに中心部では居住に使える面積が著しく少なくなることが導かれる。実際には大量輸送機関が発達しており、また、交通需要の発生のしかたは本モデルの上限よりも緩やかであると考えられる。しかし、交通機関の発達が移動距離の抵抗を小さくし、それが都市の拡大と人の集中をうながし、その結果、便利なはずの交通機関の渋滞を招いているという連鎖のひとつの側面を、本モデルは的確にとらえており、パラメータの同定を行って、実際の問題への適用を試みることは十分価値があるものと考えている。

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こんな論文どうですか? 都市空間の道路と住居への配分:交通渋滞のない円形都市モデル,1995 http://ci.nii.ac.jp/naid/110001188140 都市の交通渋滞の問題を考える指針を得るために次のような問題を考える。すなわち、渋滞のない理想的な条件の下で発生

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