著者
佐藤 徳
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
性格心理学研究 (ISSN:13453629)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.89-100, 2000-03

本研究では, 区分化を自己の各側面から対立する感情価にある表象を"排除"する傾向と定義し, 自己表象の内容と構造の個人差がポジティブおよびネガティブ・イベント体験後の感情体験の強さ, ならびに気分変動の大きさにどのような影響をもたらすかを検討した.自己表象の内容面の指標としては自己記述に使用された項目に占めるポジティブ項目の率を, 区分化の指標としては各側面におけるポジティブ項目選択率とネガティブ項目選択率の差の絶対値の平均を用いた.その結果, ネガティブ・イベント体験後においては, ポジティブ項目率が低いほど強いネガティブな感情を体験していること, 区分化傾向が高いほど強いネガティブな感情を体験していることが見出された.他方, ポジティブな感情においては自己表象の効果は得られなかった.気分変動の大きさについては区分化の主効果のみが見出され, 区分化傾向が高いほど変動が大きかった.以上の結果は, ポジティブな感情とネガティブな感情では自己表象の効果が異なること, ポジティブ, ネガティブ双方の自己表象を統合することが極端な気分の変化に対する緩衝要因となることを示している.

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自己の区分化compartmentalizationの日本の研究。他に見たことない。 https://t.co/bWAx7HRYKr

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