著者
長谷川 公一
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.354-373, 1983

対立や紛争はどのような社会現象か。そこでは、主体はどのような課題に直面するのか。従来の紛争研究は、主体間の目標達成の両立不可能性に焦点をあてる社会関係論の視角からするものと、社会システムの不均衡状態に焦点をあてる全体システムの視角からするものとに大別できる。本稿は前者の系譜をふまえ、ダイアド関係を動態的にモデル構成し、そのうえで、紛争化過程および紛争過程における紛争当事者の課題を論じたものである。まず、ダイアド関係の利害連関は、対立、結合、分離の三状相に分節される。資源動員能力の格差にもとつく優位な主体の側の劣位者側への意思決定の貫徹可能性に注目すると、相互行為のパタンは、紛争、抑圧的支配、互酬的支配、協働、並存の五過程に分節される。ダイアド関係は、これらの問を移行する動態的な過程である。紛争過程への移行に際しては、対立状相の意識化に次いで、紛争行動を選択するか、紛争回避行動を採るかの意思決定が課題となる。選択を規定するのは、劣位な主体では相対的剥奪感であり、一般には報酬・コストのバランスである。両当事者の紛争行動の選択によって、紛争過程は開始される。紛争行動の実施にあたって、当事者は、 (1) 資源の動員可能性、対抗行為の (2) 戦略的有効性および (3) 規範的許容性、これらの検討を課題とする。とくに劣位な主体は、対抗集団の組織化などによる、対抗力の拡大と資源動員能力の格差の克服とを緊要な課題としている。

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